未来の食材・昆虫食とは|肉に代わって虫を食べる時代が来る?メリット、販売商品も紹介!

未来の食材・昆虫食とは|肉に代わって虫を食べる時代が来る?メリット、販売商品も紹介!

日経トレンディ日経クロストレンドが発表した2021年ヒット予測で、コオロギフードが第5位にランクインしました。このランクインからわかるように、昨今のトレンドとして昆虫食市場が急成長しています。誰もが知る大企業が小売店向けに商品を発売し、昆虫が当たり前のように食べられる日が近づいています。

世界に広まりを見せるフードテックという観点からも、昆虫食はぜひ押さえておきたいトピックスです。フードテックについての詳しくはフードテックとは|基礎から学ぶ概要開設こちらの記事をご覧ください。

本記事では、今注目すべき未来の食材「昆虫食」とは、メリットや販売商品も紹介します。

昆虫食とは

昆虫食とは、コオロギやバッタ、ダンゴムシの幼虫といった昆虫をタンパク質や脂質の補給源として食材利用するものです。奇異なことと感じる昆虫食。実は珍しいことではありません。世界では20億人の人々が少なくとも約2000種類の昆虫を食用にしているとされています。日本でもイナゴや、蜂の幼虫などが食用として親しまれています。

また、国連も昆虫食を未来の食材として推奨しています。加えて、WWF(世界自然保護基金)イギリス支部がFuture 50 foods(未来の50食材)として、コオロギを紹介したことから、徐々に認知が高まっていると言えます。

WWF(世界自然保護基金)とは

人と自然が調和して生きられる未来を目指し、「地球温暖化を防ぐ」「サステナブルな社会を創る」「野生動物をを守る」「森や海を守る」という4つのテーマを柱に100カ国以上で活動している活動している環境保全団体です。

昆虫食のメリット

温室効果ガスの排出が少ない

FAO(国際連合食糧農業機関)の2013年のレポートのよると、世界全体で排出される温室効果ガスの約14%は畜産業によるものだとされています。主な原因として、餌の生産・輸送や糞尿の処理、動物のゲップが考えられ、温室効果ガスの排出が多い傾向にあるとされています。

それに比べて昆虫は、生産時の温室効果ガスの排出が少なく、例えばコオロギの体重あたりの温室効果ガスの排出は、鳥や牛の食肉に比べて1/11~1/23倍に抑えられるとされています

生産、加工が容易

昆虫は生産、加工が比較的かんたんです。可食部1kgの生産に必要な農地面積は、鶏や牛肉が45~200㎡必要とすることに対し、コオロギは15㎡と、少ない面積での生産が可能です。必要な加工も解体が必要な他の食肉に比べ、粉末化やペースト化、素揚げなど特殊な技術を必要としません。

また、昆虫は、飼料変換効率が高いことで知られています。種類や製造工程にもよりますが、肉1kg太るために必要な飼料はコオロギは約1.7kg、鳥や牛などの食肉の場合は2.5kg~10kgとなっており飼料数を抑えることができます。

可食部100%と多い

昆虫は、廃棄食材や堆肥などの生活廃棄物を餌として利用可能です。また、可食部が全体の重量の約50%である牛などに比べ、昆虫は100%が可食部となっており、廃棄する箇所がありません。

タンパク質などの栄養素が豊富

昆虫の栄養素は約60~70%がたんぱく質で、その栄養価は牛や豚、鶏などの他の食肉とほぼ同等と言われています。他にも、食物繊維、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、セレン、亜鉛なども含みます。また、魚類と比べ、脂肪酸を多く含むことから、栄養補助食品としても活用可能です。

昆虫食は安全なのか?

昆虫食を取り入れるという段階で、安全面での不安がつきまといます。
当然ながら自然界にいる昆虫は、毒性をもつ虫や寄生虫、中には細菌感染リスクが高い虫も存在しています。

しかしながら、一般的に流通している昆虫食の多くは、養殖や乾燥加工したものであり、飼育工場や衛生管理が行われている中販売されていると考えられます。そのため、虫が毒性を持つ植物を食べてしまうというリスクや細菌感染リスクなどが低く、安全性はある程度担保されていると考えられます。

一方で昆虫は、エビやカニなどの甲殻類と似た成分を含むとされ、甲殻類アレルギーを持つ人は摂取によりアレルギー症状を起こす可能性があり注意が必要です。

安全に昆虫を食べるためには、一般的に100℃のお湯で1~2分程度加熱し、鳥や豚などの他の食肉と同じように殺菌消毒を行うことが重要です。

注目の昆虫食

コオロギ

昆虫食の文化は世界中にありますが、中でもコオロギは一般的な虫の1つです。コオロギは、タンパク質65%、脂肪20%、繊維5%で形成されている為、1匹で多くの動物性タンパク質を摂取することができます。
同重量の牛肉に比べてタンパク質は2倍、カルシウムやアミノ酸は牛乳以上とも言われており、鉄分やオメガ3脂肪酸も豊富です。加えて、1日に推奨されているビタミンB12は必要量が2.4μgに対し、コオロギ100gで5.4μgと、たった100gで1日分の必要量を十分に賄うことができます。

販売商品

無印良品「コオロギせんべい」

画像引用元:無印良品公式サイト

「コオロギせんべい」は、無印良品の運営企業である良品計画がフィンランド初出店をきっかけに発売したコオロギパウダー入りのせんべいです。同商品は徳島大学と連携して開発されました。エビのような香ばしい風味が特長で、消費税込みで190円で発売されています。昆虫食を試す一歩として手を出しやすい商品です。

INNOCECT(イノセクト)「クリケットプロテイン」

画像引用元:INNOCECT公式サイト

「クリケットプロテイン」は、サステナブルな代替タンパク食品を開発するINNOCECTが発売する、コオロギを使用したプロテインパウダーです。25種類の美容成分に加え、牛由来のホエイプロテインの3倍のタンパク質を配合していることから、環境にやさしく効率的に体の内側からきれいにしてくれる商品です。同商品はナッツのような風味が特徴的で、他にもコオロギ由来のプロテインバーなどを販売しています。

ミルワーム

ミルワームは、2020年4月にEU(欧州連合)でヒトへの食用原料の認証が正式に行われたことでさらに知名度が上がった昆虫食です。
ゴミタマムシ科の甲虫の幼虫であることから、成虫と比べて飼育期間が非常に短くなります。そのため、飼育にかかる温度管理などのエネルギー使用量や飼料、糞尿の処理などのコストなどが削減でき、地球環境を考えた継続可能な食材と言えます。アイディア次第で様々な活用ができることから、今後の展開に期待が持てる昆虫食です。

販売商品

micronutris(マイクロニュートリス)「CRACKERS HAPPY THYME(クラッカーハッピータイム)」

画像引用元:micronutris公式サイト

「CRACKERS HAPPY THYME」はフランスの昆虫食企業miconutrisが発売している、ミルワームを丸ごと使用したクラッカーです。乾燥したミルワーム粉末で作られた同商品は、タイムやローズマリーなどのハーブが含有していることから、違和感なく食べられる商品です。

昆虫食の将来

日本能率協会総合研究所が提供するMDB(マーケティングデータバンク)で、世界の昆虫食市場を調査し市場規模を推計した調査レポートによると、2025年度世界の昆虫食市場は約1,000億円となる見込みであるとの記載があります。

その他にも、欧米を中心に新商品の更なる開発や発売が進み注目を集めることや、2018年EUで新規食品として承認を追い風にさらなる市場拡大が予測されると期待されています。

日本でも、この流れを汲み昆虫食に注力する企業が増加し、食用昆虫の養殖産業、価格の低下や昆虫食の普及が見込まれます。

まとめ

近年の、昆虫食への注目度の高まりを鑑みると、昆虫がスーパーフードとして定着する未来もそう遠くないといえるでしょう。一見食材として取り入れ難い昆虫ですが、最新のテクノロジーを持ってして食材利用しやすく加工されているものもあり、今後の進展に目が離せない未来の食材です。