投資・出資・融資の違い|5分で分かる「資金調達」の基礎知識

投資・出資・融資の違い|5分で分かる「資金調達」の基礎知識

新たに事業を始める際には資金調達が必要です。個人・法人、大手・ベンチャー・スタートアップなど事業形態や事業規模を問わず、事業運営における資金調達は最重要項目です。

資金調達には様々な方法がありますが、それぞれを大きく分類すると「投資」「出資」「融資」に分けられます。どれも資金を調達するという意味では同じですが、その中身は大きく異なります。

本記事ではそれぞれの違いについて解説していきます。

資金調達とは

資金調達とは、事業経営を行う際に必要なお金を集めることです。主に金融機関など外部から新たに資金を調達することを指します。集めた資金を元手に経営者は新たに設備投資を行ったり、従業員を新たに雇用する、商品開発に活用するといったことで自社の売上アップや取引拡大に努めます。

資金調達の方法としては3つあり、「資本を増やす」「負債を増やす」「資産を売却する(現金化する)」という方法があります。創業間もないスタートアップベンチャー企業でも、数十年と事業を営んでいる老舗企業でも、いずれかの方法で資金調達を行います。

更に具体的な方法を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
→「資金調達で知っておくべきメリット・デメリット

資金調達の各方法は「投資」「出資」「融資」に分けられます。厳密には、出資・融資は、投資に内包される概念です。つまり、出資・融資は投資の一種となります。

それぞれの性質の違い、メリット・デメリットについて解説します。

投資とは

投資とは、何らかの利益を目的として第三者から資金の融通を受けることです。先述した通り、融資・出資も投資に含まれる資金調達手法です。

融資・出資にも同様の目的がありますが、返済義務の有無や資金提供者の違いがあります。

融資とは

融資とは簡単に言えば「お金を借りる」ことです。つまり、金融機関等からお金を借りることで、一言でいうと「借金」です。借りたお金ですので、当然返済義務が生じます。返済の際には、借りた金額+利息を支払う必要があります。

借金とはいっても個人の借入と異なり、事業の融資は資金を元手に新たにお金を作ることを目的としてお金を借りることを指します。

金融機関から融資を受けるためには、「事業実績」や「事業計画書」など信用を示すものが必要のため、創業間もない頃は審査が通りにくいこともありますが、日本政策金融公庫(国金)などが行っている公的融資は創業間もない個人事業主やスタートアップベンチャー企業でも融資を受けやすいことが特長です。

融資のメリット

・必要な金額の資金調達が可能
最終的な支払い総額が融資額を上回ることになる

・融資先の投資家や金融機関が経営に介入してくることがない
経営方針や目的など経営の自由性を維持できる

融資のデメリット

・利息の支払い、元本の返済義務がある
一定期間ごとに、元本と決められた利息を期日までに返済していく
・審査が通りにくい
事業の計画性や、融資を受けることでどのように事業成長が見込めるかを具体的根拠として示す必要がある

出資とは

出資とは、出資者が事業の成長や成功を期待して資金援助を行うことです。出資による資金調達のメリットは、返済や利息の支払い義務がないことです。

先述したように融資の場合は、元本+利息を定期で返済する義務が発生しますが、それらの返済によって資金繰りが悪化することもあります。出資の場合はそうしたリスクがないため、気持ち的にも余裕を持って事業を営むことが可能です。

また出資者は資金援助をする見返りとして配当金を得る権利や、経営に介入する権利を持ちます。手法としては、主に株式投資やクラウドファンディングなどが該当します。

出資する側は、株価が上がれば大きな利益を獲得できる可能性があります。昨今では、スタートアップベンチャー企業などは、ストックオプションで株式を手に入れられることもあり、従業員のモチベーションアップや人材定着にも繋がっています。

出資と投資は意味合い的には近いですが、イメージ的には投資に含まれる資金調達方法の1つが出資という形となります。投資=出資と使われることもあります。

出資のメリット

・返済や利息の支払いが不要
元本や利息の支払いによって資金繰りを悪化させるリスクがない
・信用力に関わらず資金調達が可能
融資と異なり、保証人や担保提供による社会的信用力は重視されない。事業の成長性を伝えることで、それに期待する出資者から資金提供を受けられる

出資のデメリット

・出資者に経営機能を握られる
出資者の利益が最優先となるため、出資者の意向を最優先に考えなければならない。その他、株式会社の場合は持ち株数に応じて行使できる権限が強くなる。

・資金調達額の調整が難しい
資金調達できる金額は、出資者の判断にゆだねられるため、金額コントロールが難しい。なぜその金額が必要なのか、納得を得られるだけの事業計画性と、出資者に対するプレゼン力が求められる。

まとめ

いかがでしたでしょうか。投資・融資・出資はいずれも、第三者から資金提供を受けることですが、それぞれ意味合いが異なります。

それぞれの資金調達にはメリット・デメリットはありますが、いずれの場合においても、資金提供側は将来の事業成長によって自社に利益をもたらすことを期待しています。

そのため、安定した経営基盤と事業の計画性・成長性を感じてもらうだけの体制を整えることが必要となります。出資する側は返済義務はありませんが、仮に資金繰りが上手くいかず経営が立ちいかなくなってしまった場合、経営者としての社会的信用がなくなるため、再起も難しくなります。

自社の未来に投資して頂くことは、投資家の期待を背負うことです。その責任を果たすように真摯に事業経営に努めることが大切です。

もし、資金調達の方法に迷った際は、自治体や金融機関では様々な経営に関するアドバイスも行っていますので、積極的に相談をしてみると良いでしょう。

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