NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)が発表した『ネイル白書2025』によると、日本のネイル市場は新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも回復基調にあります。ネイルサロンの店舗数は2024年時点で約2万3,000店規模とされ、2010年代後半に見られた急増期と比べると伸びは緩やかなものの、一定の水準を維持しています。
また、ネイルサービス・製品・教育を含むネイル産業全体の市場規模は、2023年時点で約2,047億円と推計されており、そのうちネイルサロンを中心とするサービス市場は約1,531億円を占めています。コロナ禍以前に示されていた「2,300億円超」という予測値からは一時的に縮小したものの、近年は需要の回復とともに再び成長軌道に入りつつあります。

画像引用元:NPO法人日本ネイリスト協会 ネイル白書 公式ページ
しかし、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響により、ネイル業界も一時的に大きな打撃を受けました。帝国データバンクが2020年12月に公表した業界調査によると、2020年1月~11月の間にネイルサロンの倒産は19件発生し、年間で過去最多を記録しています。背景には、店舗数の増加による競争激化に加え、外出自粛や営業時間短縮の影響が重なったことが指摘されました。
一方で、こうした急激な需要減少は一時的なものであり、2022年以降は行動制限の緩和とともに来店需要が徐々に回復しています。現在は、単なる店舗数の拡大ではなく、予約管理や顧客対応の効率化、リピーター獲得といった経営体質の強化が求められる局面へと移行しつつあります。
そのような状況を受けて、JNAは現在の社会の価値観に対応した新しいネイル産業の在り方を構築していく方針を打ち出しています。2021年度のプロジェクトの中にはネイルサロン、ネイル産業に対するデジタル化・デジタルトランスフォーメーション(DX)化の推進・提案と支援を行っていくことが含まれています。本記事では、具体的にどのような整備が可能なのか、ネイルサロンの未来の可能性を探っていきます。
ネイルサロンにおけるDXとは
DXとは、IT技術により、仕事や生活がより良い方向へと変化させることを指します。ネイルサロンの一般的な来店の流れは、受付、メニューやデザインの選択、ネイリストによる施術、会計と進むのが一般的です。時間の目安はメニューにもよりますが、1~3時間ほど。また、来店前には店舗の事前情報を調べることに時間をかける人も多いでしょう。この中でIT技術を取り入れられるポイントを探していきます。
まず受付や会計は、予約システムや事前決済システムで、待ち時間を短縮することが可能です。来店客とスタッフの対面時間も短縮されるので、現在なら新型コロナウイルスの感染リスクを下げる効果もあります。
ネイリストによる施術は、一見、IT化が難しいと感じるかもしれません。しかし、近年はネイルプリンターなど最新の機械を利用した非接触サービスが注目を浴びています。IT化とは異なりなすが、長時間の施術を必要としないネイルシール製品や、専用の道具と空間を用意した無人のセルフネイルサロンなど、今の時代に合った、工夫を凝らした製品・サービスも登場しています。
どの店にしようか、人気の店はどこにあるかなど、お客の店舗リサーチは従来からインターネット検索が使われてきました。近年はさらに、検索にかける時間においても削減を実現できる最新ツールが活用されるようになっています。
DX化を実現する活用例
ネイルサロンでIT化を実現できるポイントが分かったところで、今話題の活用例の一部を見ていきましょう。
予約・会計なら予約管理システム「RESERVA(レゼルバ)」!

予約管理システム「RESERVA」は350以上の業種に対応し、登録事業者数が35万社を突破している、日本で最も選ばれている予約管理システムです。無料のフリープランが用意されており気軽に試せるほか、SaaS型サービスのため設定を3分ほど行ったらすぐに受付を開始できるのがポイントです。また、同システムにはオンラインカード決済機能が搭載されており、ネイルサロンのメニューの予約と合わせて、支払いを来店前に完了させることが可能です。
非対面施術・無人運営なら「Clockwork(クロックワーク)」!

画像引用元:Clockwork公式サイト
アメリカ・サンフランシスコで開業したネイルサロン「Clockwork」は、ロボットが施術を担当します。爪の大きさなどはセンサーが識別し、来店客が希望する色を選んだら、あとはロボットが自動でデザインしてくれます。所要時間は約10分、価格は約8ドルと、ネイリストによる施術よりも大幅な時間短縮・安価を実現しました。同サロンは2021年に登場したばかりで、今後日本での導入も期待されます。
店舗情報発信なら「Google(グーグル)マイビジネス」!

画像引用元:Googleマイビジネス公式サイト
Googleマイビジネスは、Googleの検索やマップといったサービス上で店舗情報を表示させる無料ツールです。「渋谷 ネイルサロン」など、エリアや店舗種類を入力して検索した際に表示される住所や連絡先、位置情報などを含んだ店舗情報の一覧の中に、自営の店舗情報を含めることができます。宣伝方法を新聞や雑誌、チラシの広告からインターネット上へと切り替えることで、不特定多数の人に瞬時に店舗情報を伝えられ、多くの人を呼び込むことが可能になります。
ネイルサロンDX化の実現に向けて
ネイルサロンの倒産が増加した要因の1つに、本記事冒頭で述べた新型コロナウイルスの感染拡大のほか、美容関連企業の参入やネイリストの独立が相次ぎ、小規模のネイルサロンの経営が悪化したことも挙げられます。個人事業の場合は運用資金に限りがあることや、人手や時間の不足に陥るケースも多々あり、廃業を余儀なくされることもあるのでしょう。
だからこそ開業初期段階から、経営が長い店舗の場合は今こそ店舗改革として、各所のデジタル化、業務効率化、無人運営などを検討することが必要不可欠です。業務効率化を実現するために、まずはSaaSシステムやツールを駆使したり、コロナ禍による補助金制度、IT化に向けた補助金や助成金制度を利用したりと、できることから初めて少しずつ改革を進めていくことが大切です。
まとめ
対面によるサービス提供が必須と思われていたネイルサロンでも、DX化の波が押し寄せてきています。今のネイルサロン業界は厳しいとされていますが、デジタル技術を駆使することで、苦難と怒涛の時代を生き抜くことができます。最先端の運営体制を構築し、需要減少に歯止めをかけていきましょう。