美容院のDX化|2022年コロナ禍市場を生き抜くためには何が必要か

美容院のDX化|2022年コロナ禍市場を生き抜くためには何が必要か

2021年、厚生労働省が発表した「令和元年度衛生行政報告例」によると、美容院の数は25万4422軒となり、過去最高数を突破したと報告されています。市場規模で見ても、2020年度の事業者売上ベースは前年度比で92.7%、金額でみると1兆9,700億円になると予測され、市場はどんどん拡大しています。

しかし、美容業界は新型コロナウイルスの影響により大きな打撃を受けました。その中でも、緊急事態宣言中の「巣ごもり」による、セルフカラーの需要や、それに伴った美容院への関心の低下は見込み客の足の遠のきに繋がっており、大きな問題となっています。

急激な美容院数の増加と、コロナ禍で人々の美容院への関心が低くなったことが相まって、美容業界の競争率は非常に激しくなっています。この状況下で、生き残っていくために必要となるものは、「選ばれる店」になるための、「他店舗との差別化」「付加価値をつけたサービス」です。

現在、ニューノーマルにあわせた美容室経営のモデルを形成するために、デジタルトランスフォーメーション(DX)を用いたさまざまなサービスが生まれてきています。今回は、なぜこれからDX化が必要になるのか、実際にDX化を行っている活用例を見ながら考えていきましょう。

美容院におけるDXとは

まずDXとは、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)」で以下のように定義づけされています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

つまりデジタル化を浸透させることで、時代に沿った新たな価値を作り出し続けることがDX化の本質的な意味です。さまざまな定義はありますが、bizlyでは「進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること」をDX化と定義します。

例えば、予約システムを導入して「お客様との予約・決済・顧客情報をデジタル化し、一元化して管理する」こともDX化の例の1つです。

これにより「顧客情報の正確性向上」や「スタッフと対面して接する機会が減り、感染リスクを防止できる」といった、今必要とされている価値を作り出すことができます。

また、テクノロジーの力を用いて、既存の業務への価値観の変革を行っているものや、新しいサービスを作り出している活用例もあります。

美容院におけるDX化活用例

1.予約システム

画像引用元:RESERVA公式サイト内 ヘアサロン・美容室(理容室)の予約システム

予約システムは予約受付→決済→顧客管理→集客までを全て自動化でき、管理業務全体のスピード・正確性の向上を可能にするものです。ここでは登録事業者数20万社以上で業界No.1の「RESERVA(レゼルバ)」を例に挙げます。RESERVAは予約タイプが6種類搭載されており350種以上の業種に対応しています。

現在多くの美容室でも利用されています。実際の活用事例として下記の記事をご参照ください。
導入事例:RESERVA活用事例|HOOTALINQUA Hair Salon Taipei【ヘアサロン】

2.バーチャルメイクシミュレーター

画像引用元:パーフェクト株式会社 公式ホームページ

パーフェクト株式会社開発の、印象診断バーチャルシミュレーションシステムです。「眉」×「髪」の組み合わせからシミュレーションを行い、印象プロデュースをWEB上で診断することが可能になります。「バーチャルヘアカラー」と「眉毛のバーチャル体験」機能は、ヘアサロンでのカウンセリング目的で開発されたコーセー、ミルボン、コスメティクスのWEBアプリケーションにも導入されています。AR・AI技術を駆使したアプリケーションにより高精度なイメージ作成を可能にします

これはサロンにひとつあるだけでさまざまな髪形を疑似体験することが可能になり、美容院に「髪形を切る」だけでない付加価値を作ります。

3.ヘアサロン特化型のスマートミラー

画像引用元:MirrorRoid(ミラーロイド)公式ホームページ

ミラーロイド」は、Android OSを搭載したヘアサロン特化型のスマートミラーです。鏡にヘアカタログを映すことや、付属のカメラで撮影した顧客の顔写真上でヘアシミュレーションを行うこともできます。さらに動画視聴も可能です。これは店舗内での会話による飛沫対策防止のほか、サービス性の高い時間を作り出すことができます。

また、ミラーロイドのVR機能を活用して、美容師向けの教育用映像を見ながら施術の練習もできるため、教育の効率も上がります。

4.自動シャンプー機器

画像引用元:タカラベルモント株式会社 公式ホームページ

タカラベルモント開発のシャンプー機器「AQUA FORTE plus(アクアフォルテ プラス)」は、摩擦を極力減らし、頭皮環境を整える自動シャンプー機器です。カラーの後でも毛穴からカラー材の除去を丁寧に易しく行い、美しい髪の仕上がりを実現しています。

この機械はシャンプーの人件費削減ではなく、「ベースウォッシュ」という頭皮、髪質へのアプローチが大きな価値を生みます。これにより美容院のカットのみならない新しい存在価値を実現できます。

美容院DX化による未来

DX化において最も懸念される点は導入コストです。美容院は、小規模な店から大型店まで幅広く存在します。その中でも個人経営・美容師の独立が多いことが美容業界の特徴とされます。その際に一定の「コスト」を抑えることは事業主として必要になるでしょう。

しかし、現在多くの独立店がDX化を行っています。DX化を用いた店舗とそうでない店舗では提供可能なサービス品質業務効率が桁違いです。またDX化が叫ばれている今だからこそ、導入はDX化の先駆けとして注目・興味の的になるチャンスでもあります。

まとめ

美容院の数はこれからも増加の一途を辿るでしょう。有象無象にある美容院の中で、他店舗との「差別化」はこれから必要不可欠なものになります。DX化の導入はそんな差別化の第一歩になります。最先端の運営体制でこれからの美容業界を生き抜いていきましょう。