内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の一人暮らし世帯は男女ともに増加傾向にあり、2020年には男性15.0%、女性22.1%、2050年には男性26.1%、女性29.3%になると見込まれています。厚生労働省が発表した「平成28年版厚生労働白書」では、一人暮らしの高齢者が生活の中で困っていることとして、家の中の修理や電球の交換、掃除、買い物などが挙げられています。
また、厚生労働省の「仕事と育児・介護の両立に係る現状及び課題」によると、2021年の「雇用者の共働き世帯」は1,177万世帯であり、「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」(458万世帯)の2倍以上と、雇用者の共働き世帯は増加傾向にあることが明らかになりました。共働き世帯である雇用者の多くは、家事や育児・介護と仕事の両立に追われ、プライベートの時間を確保するのも難しいと感じているのが現状です。
そのような状況で注目されているのが、家事代行サービスをはじめとする出張訪問サービスです。出張型のサービスを利用することで、これまで負担になっていた自宅での作業負担を削減し、精神的な余裕のある生活につながります。
出張サービスの需要が高まる一方で、人材不足が大きな課題となっており、課題の解決にはDX(デジタルトランスフォーメーション)化が有効です。DXを導入することで、これまで人の手でおこなっていた作業をシステム上で一括管理でき、スタッフの負担軽減につながります。また、DX化によって業務の効率化と生産性の向上を図り、経営に必要な人員や時間などのコスト削減も実現します。
本記事では、出張サービスでのDX活用をもとに、DX化の重要性と可能性を考えていきます。
出張サービスにおけるDX化とは
まずDXとは、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」で以下のように定義づけされています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
デジタル化によって業務の効率化や生産性の向上を図り、快適な社会環境へ変革していくことをDXといい、時代に沿った価値観やシステム、サービスを構築する目的があります。
例えば、予約システムの導入で「出張の予約・決済・顧客情報をデジタル化し、一元して管理する」というのはDX化の例の1つで、「訪問のスケジュール管理や顧客情報管理などの人為的ミスの削減」や「スタッフの負担軽減」の実現につながります。このような業務の効率化は「サービスクオリティの向上」につながり、顧客損失の防止になります。
出張サービスにおける人材不足の解決やコスト削減に、DX化は大きく尽力します。出張サービスに最新のデジタル技術を組み込むことで、新しい出張訪問サービスのありかたを考えることが可能です。
出張サービスにおけるDX導入事例
ここからは出張サービスのDX導入の例を紹介します。
1.予約システム
予約システムは予約受付→決済→顧客管理→集客まですべて自動化し、データ管理の効率化を可能にします。
「RESERVA(レゼルバ)」は導入数30万社を超える、業界トップシェアのクラウド型予約システムです。利用業態は350種類以上にのぼり、最短3分でサイトを作成できるシンプルな操作性が高く評価されています。無料のフリープランから利用でき、初めて予約システムを導入する方にもおすすめです。
毎月同じ金額を自動的に徴収できる月額プランや、オプションやスポット利用に使える回数券機能など、出張訪問サービスに役立つ機能を多数搭載しています。
2.AIジャーナリング
家事代行マッチングプラットフォーム「タスカジ」は、AIがスタッフの活動記録を自動フィードバックする「AIジャーナリング」機能を利用しています。AIジャーナリングでは、スタッフが仕事後に入力する活動記録に対し、AIが自動でスタッフの悩みを判断します。スタッフの悩みを解決できるFAQを案内してフィードバックすることで、スタッフが自己成長する仕組みを提供しています。
タスカジで活躍する働き手はフリーランスであり、スキルやマインドの成長を目指すには、自己管理でPDCAサイクルを回す必要があります。AI技術を用いて悩みの解決策をフィードバックすることで、自身の振り返りの機会を提供し、フリーランスとして活躍し続けられる環境づくりを目指しています。
3.車両動態管理システム
Cariotは、デバイスを車に取り付けてアプリを起動するだけで、車のデータをリアルタイムに取得できるサービスです。車両の正確な位置情報を取得することで、外出したスタッフの稼働状況を把握でき、利用者からの問い合わせ削減につながります。また、適切な人員配置が可能になるため、スタッフの訪問・対応件数を増やし、業務を円滑に進められます。
さらに、運転日報をペーパーレス化でき、サービス提供実績や経費利用の証拠として画像を登録できます。ドライバーや顧客ごとに、非効率業務をデータから抽出できるため、業務の改善に活用できます。
Cariotは、DX総研おすすめの【2024年最新】おすすめのDXサービス・ソリューション提供会社にも選出されています。
出張サービスが進んでいく未来
株式会社ベアーズは、「暮らしサポート企業」へと進化するためDXを推進し、サイトのリニューアルを実施しました。ベアーズは、2020年から家事代行の領域にとどまらず、暮らしの“困った”をサポートする「暮らしサポート企業」となることを宣言し、出張サービスを拡充してきました。今回のリニューアルでは、問い合わせフォームをスタッフのアプリと連携し、その場で出張の日時確定、要望の確認や必要事項の伝達、決済の手続きまで、すべてシステム上で完結する仕組みを発表しました。デジタルとアナログが融合するDX化により、ぬくもりある手厚いサービスはそのままに、より効率的なビジネスモデルを実現しています。
また、業界トップシェアを誇るクラウド型予約システム「RESERVA」を運営する株式会社コントロールテクノロジーでは、持続可能な社会の実現に向け、地域活動への積極的な参加や複数の団体への支援を通じて、さまざまな社会課題の解決に取り組んでいます。先進的なIT技術を用いて事業活動を推進するコントロールテクノロジーは、予約システムを通じて事業者の日々の業務を自動化し、自由な時間を創出すること、そして予約サイトの利用者に対しては、予約を通じて未来の予定を確実にし、安心感を提供することを、存在意義として掲げています。
DXを導入することで、これまで手作業で管理していた情報をシステム上で安全に保管できるなど、最新のデジタル技術が出張サービスの生産性向上を可能にします。出張サービスのDX化は、業務の効率化によってスタッフの負担を軽減できるだけでなく、出張サービス業界全体の発展につながります。
まとめ
事業所から利用者宅までの移動にかかる時間や、サービスに使用する備品の経費など、多くのコストがかかる出張サービスでは、DXの導入が不可欠です。DX化によって業務の効率化や生産性の向上を図ることで、コスト削減や人材確保につながります。出張サービスのDX化は、生活のあらゆる面で効率化が求められる現代に、利用者の生活の質を高める快適なサービス提供を実現するでしょう。