タクシー業界のDX化|課題解決の第一歩、デジタル化という選択肢

タクシー業界のDX化|課題解決の第一歩、デジタル化という選択肢

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の「令和3年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」によると、全国のタクシー運転者の年齢は平均60.7歳で、前年に比べ2.0%(1.2歳)上昇しました。全産業労働者の平均年齢が43.4歳で前年比が0.5%増(0.2歳)であり、タクシー業界の高齢化は他業界と比べて進行しています。

また自交総連の「新型コロナウイルス感染症の影響による営業収入の変化」によると、すべての都道府県で前年同期の営業収入を大幅に下回り、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けたことがわかりました。

高齢化や営業収入の減少は、業界全体としての大きな課題です。新型コロナウイルスの行動規制緩和が進む中、タクシーがコロナ禍以前のように利用されるためには、業務の効率化や生産性の向上を図り、現状を変える必要があります。そのために、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の導入は不可欠です。DX化の推進が、高齢化・経営難化するタクシー業界を変革させる第一歩となります。

本記事ではDX化が、業務の効率化や生産性の向上を可能にする理由を、DX化導入の必然性や有用性、さまざまな活用例とともに解説し、業界の新たな可能性を探っていきます。

タクシー業界におけるDXとは

まずDXとは、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」で以下のように定義づけされています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

デジタル化で業務の効率化や生産性の向上を図り、快適な社会環境へ変革していくことをDXといい、時代にあわせた価値観やシステム、サービスを構築する目的があります。

例えば、予約システムの導入で「タクシーの予約・決済・顧客情報をデジタル化し、一元して管理する」というのはDX化の例の1つで、「運行場所や顧客情報管理の人為的ミスの削減」や「ドライバー業務の負担軽減」を実現可能にします。このような業務の効率化は「サービスクオリティの向上」につながり、顧客損失の防止になります。

DX化は、拡大する業界の市場で勝ち抜くには必要不可欠です。しかしタクシー業界は、高齢化や経営難などの課題で伸び悩んでいます。特に高齢化問題は、他業界と比べても著しく、今後の人材不足が懸念されており、業界のブラッシュアップが必至です。その1つとしてDXの導入は、労働環境の改善業界の認知度の向上につながり、新たな人材の充足を可能にします。経営難においても、DXの導入は、利用方法・支払い方法の容易化人員の管理を可能にし、問題を打開します。

タクシー業界におけるDX導入例

タクシー業界にDXを導入したさまざまな活用例を紹介します。

1.予約システム

予約システムは予約受付→決済→顧客管理→集客まですべて自動化し、データ管理を効率化が可能になります。

RESERVA(レゼルバ)」は350種以上の業種に対応しており、フリープランを含む6種類のプランを用途やニーズにあわせて選択できる、業界No.1の実績を誇っています。予約が埋まっている予約枠にキャンセルが生じた際、キャンセル待ちをしている利用者に通知・予約の実施まで自動で行えるキャンセル待ち機能や、サービスの予約と予約の間に準備時間の設定ができる準備時間設定機能など、タクシー業務向けの機能が多数搭載されています。

2.配車アプリ

画像引用元:GO公式サイト

配車アプリは、面倒なタクシーの手配をスマートフォンの操作のみで完結させるシステムで、タクシー利用者の増加に貢献しています。

GO(ゴー)」の「AI予約」ではAIによるリアルタイム需給予測で、最短15分後から7日後までの希望日時をあらかじめ指定すると、道路の混雑や天候状況まで加味して、時間通りにタクシーを手配することができます。

3.車両管理システム

画像引用元:SmartDrive公式サイト

車両管理システムは、業務で利用する車両の運行状況やドライバーの労務管理などを一元管理するシステムです。管理者やドライバーの業務負担の軽減やリスクマネジメントで徹底した人員配置や運用体制を実現しています。

Smart Drive Fleet(スマートドライブフリート)」は、シガーソケット型の手軽なデバイスやドライブレコーダーによって、走行データの自動収集やリアルタイム位置情報・走行履歴・安全運転診断などさまざまな情報を収集し、ドライバーの労働時間や移動データを管理できるため、業務効率化や生産性の向上につながります。

タクシー業界DX化が進む未来

DX化推進には「知識やノウハウが不足している」「設備や環境が整っていない」といった課題が挙げられます。しかし、タクシー業界はDX化を積極的に取り入れ、より快適な社会や労働環境の実現に向かっています。

一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会の「東京のタクシー2022」によると、タクシーの無線は、アナログ無線が主だった2002年(平成14年)度以降、デジタル化の推進によって2021年(令和3年)度にはすべてデジタル無線に移行しました。キャッシュレス決済の導入率も、クレジットカードが98.4%、電子マネーが96.7%と高い水準で導入されています。都内を中心にDX化が多方面で促進しています。

特にタクシー業界以外でも注目が集まる、自動運転技術は多くの企業が開発や実用に尽力しており、完全な無人の自動運転はいまだ実現していないものの、試験的取り組みや実証実験は数多く、一刻も早い実現へ前進しています。海外では、完全な無人ではないものの、自動運転の技術を用いたタクシー産業が誕生しています。日本でもそう遠くない未来に、自動運転タクシーの実用化が期待されています。

DX化を導入した企業の発展は目覚ましく、導入していない企業が生き残るのは非常に難しくなっています。各企業のDX化が、業界全体の発展に貢献するでしょう。

まとめ

今後のタクシー業界は、DX化が今以上に進行すると考えられます。DX化による安全性やハイクオリティなサービスの提供は、経営者・ドライバー・利用者すべての人に快適なシステムの構築を可能にします。利用率向上と労働環境の改善でタクシー業界の今後に期待がかかります。