寺院・神社のDX化|最新デジタル技術と歴史の融合

寺院・神社のDX化|最新デジタル技術と歴史の融合

近年、寺院や神社などの宗教法人は、大きな苦境に立たされています。文部科学省の「宗教統計調査」によると、宗教法人の数は年々減少し続けており、2006年に18万2868軒存在した寺院や神社は、2021年には17万9952軒にまで低減しました。

特に、地方における寺院や神社の取り巻く環境は深刻です。人口減少による過疎化で檀家や氏子が減少し、地方に存在する多くの寺院や神社が経営危機に直面しています。また、少子高齢化の影響による、跡継ぎなどの人材不足も無視できません。進学のために地元を離れた跡継ぎ候補の子どもたちが、卒業後に地元へ戻ってこないケースも多く存在します。このように、地方を中心とした多くの寺院や神社は、経営難と人材不足に陥っており、大きな課題となっています。

そういった状況を打破する有効策として、現在注目されているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)化です。従来から人の手で行っていた作業をシステムに任せることで、経営に必要な人員が少なくなるだけでなく、費用削減や集客効果の上昇など、さまざまなメリットが見込めます。

本記事では、寺院や神社でのDX活用をもとに、DX化の重要性と可能性を考えていきます。

寺院・神社におけるDX化とは

まずDXとは、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」で以下のように定義づけされています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

デジタル化で業務の効率化や生産性の向上を図り、快適な社会環境へ変革していくことをDXといい、時代にあわせた価値観やシステム、サービスを構築する目的があります。

例えば、予約システムの導入で「寺院や神社の予約・決済・顧客情報をデジタル化し、一元して管理する」というのはDX化の例の1つで、「行事のスケジューリングや顧客情報管理などにおける人為的ミスの削減」や「お坊さんや神主の負担軽減」の実現可能にします。このような業務の効率化は「サービスクオリティの向上」につながり、顧客損失の防止になります。

また、オンラインやVRによる行事の実施や参拝は、「新規顧客の勧誘」にも非常に効果的です。

このように、宗教法人における経営難や人材不足などの課題解決に、DX化は大きく尽力します。長い歴史を持つ寺院や神社に、最新技術のデジタルを組み込むことで、新しい寺院や神社のありかたを考えることが可能です。

寺院・神社におけDX導入事例

ここからは寺院や神社のDX導入の例を紹介します。

1.予約システム

予約システムは予約受付→決済→顧客管理→集客まですべて自動化し、データ管理の効率化を可能にします。

RESERVA(レゼルバ)」は業界屈指の人気を誇るクラウド型予約システムで、導入数は26万社以上、利用業態は350種類以上にのぼります。100種類以上の豊富な機能をそろえている点や、初期設定から利用開始まで最短3分という圧倒的な操作性が高く評価されています。また、はじめての利用やお試しでの利用にうれしいフリープランの展開も特徴的です。

参拝やご祈祷を家族一緒にまとめて予約できる団体予約機能や、年末年始や七五三などの年中行事をお知らせするメルマガ配信機能、子供料金も設定可能な複数料金設定など、寺院や神社の経営に特化した機能が多く搭載されています。

また、多言語対応機能では、日本語、英語、中国語(簡体)、中国語(繁体)、韓国語、タイ語が実用できます。日本語力が十分でない外国人参拝者向けた予約受付対応にもつなげられます。

>>【2024年版】寺院・神社 におすすめの予約システム5選|各社機能を比較!

2.VR拝観

画像引用元:三井寺文化遺産ミュージアム

VR拝観は、360度のパノラマビューや3Dモデリングを用いて、実際にその場にいるかのような没入感を提供し、宗教的な行事や文化遺産をより身近に感じさせる新しい形の拝観体験です。

三井寺」では、VRを導入することで、遠方にいる人々や身体的な理由で実際に寺院に訪れることが難しい人々でも、気軽に拝観することを可能にしました。バーチャル空間でありながらも実在感があり、現実の寺院のように人ごみの心配もありません。利用者は自分のペースで寺院を見て回ることができます。また、寺側としても新たな収益源の確保や、観光客の増加に効果的です。

3.QRコードおみくじ

画像引用元:生田神社

QRコードおみくじは、神社に設置されたQRコードをスマートフォンでスキャンすることで、おみくじを引くことができるシステムです。

生田神社」では、新型コロナウィルスの感染拡大防止を目的に、2020年より導入されています。不要な接触や、必要以上の混雑の回避に効果的で、安心安全な環境づくりに役立てられています。また、お賽銭の奉納や、お守りを購入する際の支払い方法として、QRコードを設置しているお寺や神社も多いです。決済のキャッスレス化は、訪日外国人の利便性も向上し、より多くの顧客獲得にもつなげられます。

寺院・神社がDX導入で進む未来

DXの導入は、ビジネスにおける激しい変化への対応をするために不可欠な要素です。業務そのものやサービスの提供方法など、さまざまな方面にデジタル技術を組み込むことで、変革を起こすことができます。

その上で、DXをどのように導入していくかが、お寺や神社今後の課題です。業務の効率化や人件費削減を目的に導入するのは有用ですが、寺院や神社の趣や雰囲気を損なっては、身もふたもありません。今後は、長い歴史を通じて受け継がれてきた精神性や景観を損なうことなく、最新鋭のデジタル技術を取り入れていくことが、お寺や神社に求められます。

まとめ

日本における人口減少や少子高齢化による波は、寺院や神社にも押し寄せています。経営難や人材不足が深刻な中、有効的な打開策としてあげられるのが、DX化です。DX化により、業務効率が改善され、お坊さんや神主の負担が減るだけでなく、利用者の利便性も向上します。お寺や神社の新しい魅力の伝え方としても役割を果たし、DXの導入は、お寺や神社の存続や活性化につながるでしょう。

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