農林水産省が公表した「飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)」によると、平成30年(2018年)には1万5,950カ所であった飼育動物診療施設は、令和5年(2023年)には1万6,825カ所まで上昇しました。また、一般社団法人 ペットフード協会の「2020年度トピックス:コロナによる影響/変化」によれば、新型コロナウイルス感染症の影響により、自宅で過ごす時間が長くなったことで、飼育者はペットから癒しを感じやすくなり、ペットへの関心の高まりが考えられています。
しかし、ペットへの需要が高まり顧客が増加すると、動物病院のスタッフにおける負担も大きくなります。そこで、ペットの情報など重要なデータ管理や効率的な運営に向けて、予約システムの導入は有効な策となります。
本記事では、動物病院が直面している運営面での課題や動物病院に予約システムを導入するメリット、選定ポイントに加え、おすすめの予約システムまで、詳しく解説します。
動物病院が直面している課題
スタッフの業務負担
動物病院を運営していくうえでは、さまざまな課題が生じます。特に獣医師や看護師の慢性的な人材不足によるスタッフの業務負担が大きな課題となっています。例えば、1つの動物病院に対して獣医が1人という体制が多いことが挙げられます。
加えて、動物病院では問い合わせや受付対応、入院中の動物のケア、会計業務など作業量が多いです。特に電話での問い合わせは、診察の連絡のみならず、病院へのクレームや休診日の確認などさまざまな種類の連絡があります。
カルテの管理
動物病院では電話による問い合わせが多く、電話内容を患者のカルテにメモをするなど、さまざまな管理が必要です。手作業でこうした情報を管理することは煩雑であるため、人為的ミスも発生しやすくなります。
紙カルテの大きな問題として、診療情報へのアクセスが挙げられます。特に多くの患者を抱える動物病院の場合、来院頻度が低いペットの診断記録を探すのに手間がかかることがあります。また、紙カルテを使用することで、カルテの紛失といったリスクも発生します。
待ち時間によるストレス
動物病院内で事前予約をせずに来院する飼い主が多い際は、患者が長蛇の列を作ることもあります。長く待たされた飼い主およびペットは、不満やストレスを感じやすくなり、クレームや満足度の低下を引き起こします。
動物病院に予約システムを導入するメリット
さまざまなオペレーション上の問題を解消する対策の中でも、効果が出やすいのが予約システムの導入です。
業務業務の効率化
予約サイトがあれば、飼い主が動物病院の診療時間や空き日程、予約状況を一目で確認できるため、病院側が頻繁に電話を受ける必要がなくなります。
また、動物病院のスタッフは、予約システムの導入により顧客の予約傾向を把握することが可能です。それにより来院が多い曜日はスタッフを多く配置して、それ以外の日は少なくするなど、業務効率化を図れます。
飼い主とペットの待ち時間が減少
予約管理システムを活用することで、飼い主やペットの待ち時間を減らせる上、ペットのストレスを軽減できます。例えば、準備時間設定機能を利用すると、予約時にインターバル分の予約枠を確保でき、混雑防止につなげられます。
また、オンラインカード決済機能で、クレジットカードで事前決済を行うことで、来院時の会計業務における効率化につなげられます。
集客力向上
予約システムでは、過去に来院したペットの予約情報、診療明細、診療内容などの確認を同時に行えるため、マーケティング活動がしやすくなります。ペットの情報をもとにしながら、健康診断をお知らせするメルマガや、予防接種のクーポンを配信してリピーターを狙うのはもちろん、SNSと連携して集客・販促を促進することも可能です。
また、ペットの誕生月別にキャンペーンやお得情報を配信するなどの施策も、顧客数増加を図れます。
動物病院予約システムの選定ポイント
動物病院に適した機能があるか
予約管理システムはそれぞれ異なる機能を持っています。そのため、予約システムを導入する際は、動物病院の運営に合った機能を把握することが必要です。
動物病院の運営に適した機能
・オンラインカード決済機能
・メルマガ配信機能
・多言語設定機能
・クーポン機能
オンラインカード決済機能は、予約の際に予約者がクレジットカードで決済できる機能です。メルマガ配信機能は、診療時間変更やお得なトリミングキャンペーンなど役立つ情報ををお知らせでき、多言語設定機能は日本に滞在中の外国人からの予約受付も対応可能にします。
また、クーポン機能は、予約促進に役立つ割引クーポンを発行することができます。クーポン機能を上手に活用することで新規顧客獲得やリピート率向上に役立ちます。
導入事例や無料プランがあるか
初めて予約システムを導入する際は、導入する予約システムの機能を使いこなせるかどうかの確認が必要です。このような場合に、導入事例や無料プランが役に立ちます。
予約システムの選択は、実際に利用しなければ使用感が伝わりにくいです。必要な機能がそろっているか、操作性はいいかなど、一度利用してみて確認することで各動物病院に合った予約システムを正しく判別できます。
費用が妥当か
予約システムの料金体制はさまざまで、予約システムは無料で利用できるものから、月々5万円以上かかるものまで、幅広い料金帯で存在しています。そのため、自分の動物病院に必要な機能と料金が見合っている予約システムを選ぶことが必要です。
また、プランが豊富な予約システムでは、動物病院に必要な機能だけを含んだプランを利用できる可能性が高まります。
サポート体制が充実しているか
各予約システムにおけるサポート体制も、見るべき重要なポイントです。はじめて予約システムを扱う際は特に、不明点が多く存在します。システムを利用していくうえで出てくる疑問点や、操作上の不明点に対してのサポート体制が確立しているシステムを選択することがおすすめです。
マニュアルの有無やサポートデスクの営業時間、電話での対応が可能かどうかなどのバックアップ体制が整っていることは、安心して予約システムを扱うために求められます。
動物病院向け予約システム5選
実際に、動物病院向けの予約システムを5つ例に挙げて比較していきます。
RESERVA(レゼルバ)
RESERVAは、業界屈指の人気を誇るクラウド型予約システムで、導入数は26万社以上、利用業態は350種類以上にのぼります。100種類以上の豊富な機能をそろえている点や、初期設定から利用開始まで最短3分という操作性の良さが高く評価されています。その上、フリープランを含めた料金プランや導入事例が豊富なため、使用感を確かめてから導入したい動物病院の運営者におすすめです。
また、RESERVAには動物病院に適した便利な機能が多数搭載されています。
まず、「予約リマインドメール機能」です。この機能は、動物病院での診療日程を予約したことを忘れて無断キャンセルにならないように、予約日の前日に確認のメールを自動で送信する機能です。事前に作成されたテンプレートが送信されるため、自身でメールを都度作成する必要がなくかんたんに設定が可能となります。
次に「キャンセル待ち機能」です。この機能は、対象予約枠のキャンセルが発生した際、キャンセル待ち申込者に通知メールを手動または自動配信する機能です。予約のキャンセル毎に、手動で通知メールを送る必要がありません。スタッフが労力を要することなく、スムーズに予約の空き枠へ誘導できます。
さらに、「予約時アンケート機能」も搭載されています。この機能は、予約受付時に事前アンケートの入力を促す機能です。事前にアンケートやペットの種類といった確認事項などを予約時に入力してもらうことで、円滑なサービス提供につなげられます。
【動物病院におすすめの機能】
・団体予約機能(複数ペットの同時予約)
・複数料金設定機能
・指名あり・指名なし予約設定機能
・オンラインカード決済機能
・メルマガ配信機能
・多言語設定機能
・予約リマインドメール機能
・クーポン機能
・キャンセル待ち機能
・予約時アンケート機能
・電子カルテ機能
・分析機能
→RESERVAの機能の詳細はこちら
【料金プラン・月額料金】(税込)
プラン名 | 初期料金 | 月額料金(年払い) |
フリープラン | 0円 | 0円 |
ブループラン | 0円 | 3,520円 |
シルバープラン | 0円 | 5,500円 |
ゴールドプラン | 0円 | 11,000円 |
エンタープライズプラン | 0円 | 22,000円 |
スイートププラン | 0円 | 46,200円 |
→RESERVAの料金表の詳細はこちら
【導入事例】
→RESERVAの導入事例はこちら
【動物病院のサンプルサイト】
→RESERVAの動物病院のサンプルサイトはこちら
メディカル革命 byGMO for 動物病院
メディカル革命 byGMO for 動物病院は、予約から受付・決済まで、シームレスに動物病院の業務の効率化を実現するクラウド型予約管理システムです。 直感的な操作性で、日々の予約管理をスムーズに行うことができます。 豊富な機能を組み合わせることで、動物病院ごとに最適な運用を実現します。
【動物病院にオススメの機能】
・24時間受付機能
・メール配信機能
・ショッピングカート機能
・タッチパネル受付機能
・診療圏分析、キャンセル統計など経営改善に役立つ統計機能
→メディカル革命 byGMOの機能の詳細はこちら
【料金プラン・月額料金】(税込)
初期費用 | 月額料金 |
要問合せ | 要問合せ |
アポクル予約ペット
アポクル予約ペットは、柔軟なカスタマイズ性とユーザーが使いやすい設計が特徴の動物病院予約管理システムです。専任担当者による個別にカスタマイズされたサポートがあり、各利用者のニーズに合わせた設定ができます。WEB問診システムも搭載されており、診察時間の短縮も可能です。
【動物病院にオススメの機能】
・リマインドメール機能
・ダッシュボード機能
・広告用タグに対応
・LINEで予約・通知機能
・オンライン決済機能
→アポクル予約ペットの機能の詳細はこちら
【料金プラン・月額料金】
契約 | 初期料金 | 月額料金(年払い) |
Calooペットプレミアム掲載とセットでご契約 | 0円 | 10,000円 |
アポクル予約ペット単体でご契約 | 0円 | 20,000円 |
→アポクル予約ペットの料金表の詳細はこちら
ペット手帳
ペット手帳は、動物病院の先生や専門家が監修した情報やアドバイスが飼い主に届きます。ペット情報とかかりつけの動物病院を登録することで、事前問診や臨時休業のメッセージの送付などの便利なサービスが利用可能です。
【動物病院にオススメの機能】
・院内iPad受付機能
・事前問診機能
・予防リマインダー機能
・薬・フード注文・連絡機能
→ペット手帳の機能の詳細はこちら
【料金プラン・月額料金】(税抜き)
プラン名 | 初期料金 | 月額料金 |
新規開院プラン | 0円 | 10,000円~ |
→ペット手帳の料金表の詳細はこちら
Wonder(ワンダー)
Wonderは、動物病院の業務効率化を推進するクラウド型予約管理システムです。 オンライン予約や問診を通じて、獣医師のシフト管理や患者の予約を直感的に管理できます。 LINE予約での利便性や特定の時間帯を予約制にする機能もあり、薬やペットフードの購入と受け渡しも予約制にすることが可能です。
【動物病院にオススメの機能】
・前日リマインダー機能
・予約枠の設定機能
・薬・フード受付機能
・スタッフのシフト管理機能
・カルテ・会計連携機能
→Wonderの機能の詳細はこちら
【料金プラン・月額料金】(税込)
初期費用 | 月額料金 |
要問合せ | 要問合せ |
まとめ
今回は、動物病院におすすめな予約システムを5つ比較しました。
動物病院の運営においての予約システム導入は、診療の効率化、待ち時間の短縮、スタッフの業務負担軽減など、多くのメリットがあります。 自社に合ったシステムを見極めるためにも、本記事で紹介した各システムの特徴や選択時のポイント、導入のメリットをぜひ参考にしてください。