4月になり新生活が始まり、新しい環境に身を置くようになるとメイクアップをして気分を上げる人も多いのではないでしょうか。日本化粧品工業会の「化粧品の輸出入」を見ると、化粧品輸入額が年々増え続けており、中国や韓国などのアジア地域からの輸入が顕著です。このことから、化粧品の需要が高まっていると言えます。
また、経済産業省の「コロナ禍の化粧品出荷、輸出状況を2022年中心にふり返る」を見ると、2022年の化粧品国内市場規模は8500億円で前年比200億円伸びているということがわかります。
メンズメイクにもスポットライトが当たるようになった令和の時代では、化粧品業界は一層盛り上がりをみせており、DX化の波が押し寄せています。AIの活用によって一人ひとりが自分に似合うメイクを見つけられるようになったり、没入型ECショップで自分好みの化粧品を手に入れたりすることが可能になりました。
本記事では、化粧品業界でのDX活用をもとに、DX化の重要性と可能性を考えていきます。
化粧品業界におけるDXとは
まず、DXとは経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」で以下のように定義づけされています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
デジタル化によって業務の効率化や生産性の向上を図り、人々の生活をよりよいものへと変革していくことをDXといい、時代にあわせた価値観や快適な社会環境を形成する目的があります。
例えば、予約システムを導入して「インターネット上で24時間いつでも商品予約を受け付ける」ことはDX化の例の1つです。これにより「お客様の利便性向上」や「業務負担の軽減による人件費の削減」が実現可能になり、利用者満足度の向上やサービスクオリティの増進につながります。
DX化の導入は、利便性の向上だけでなく、データ収集による需要の把握を可能にします。一人ひとりに合う商品の提供が重要な化粧品業界において、パーソナライズされた化粧品の提供を実現する変革であり、新しい化粧品業界のありかたを考えることができます。
化粧品業界におけるDX導入事例
ここからは化粧品業界のDX導入の例を紹介します。
1.予約システム
予約システムは予約受付→決済→顧客管理→集客まですべて自動化し、データ管理の効率化を可能にします。
「RESERVA(レゼルバ)」は導入数30万社を超える、業界トップシェアのクラウド型予約システムです。利用業態は350種類以上にのぼり、最短3分でサイトを作成できるシンプルな操作性が高く評価されています。無料のフリープランから利用でき、初めて予約システムを導入する方にもおすすめです。
顧客に関する記録としてデータを管理できるカルテ機能や、事前の問診表として活用できる予約時アンケート機能など、化粧品業界に役立つ機能を多数搭載しています。
2.「KATE ZONE」没入体験型ECストア

株式会社カネボウのメイクアップブランドKATE(ケイト)の公式ホームページではAIによる顔印象の分析や自分に合ったアイシャドウカラーの提案を受けられます。スマートフォンやタブレットなどのカメラ機能を利用するため、どこでもかんたんに診断が可能です。また、サイト内の「無限の欲パレットメーカー」では108色の中からお気に入りの4色を選び、オリジナルのアイシャドウパレットを作成できます。作成したアイシャドウパレットはオンラインショップで購入が可能です。
KATE公式LINEでは、新商品やキャンペーンなどの最新情報が配信され、お客さんの購入意欲促進につながっています。
参考サイト:KATE公式ホームページ
3.AIが自分にピッタリなリップを調合

フランスの高級ファッションブランドであるイヴ・サンローラン(YSL)は最新テクノロジーを利用したYSL ルージュ シュール ムジュールの販売を2022年3月から限定販売を開始しました。AIを搭載した専用アプリと一緒に利用することで自分好みのリップが作れます。
最大4,000通りのカラーを配合できるため、その日の服装や気分に合わせてリップを選べます。「シェードマッチ」機能では植物や食べ物の画像を専用アプリで読み込むと、そのカラーを配合しリップが抽出されるため、今まで出会ったことのないようなカラーを体験することが可能です。
参考サイト:YSL公式ホームページ
化粧品業界が進んでいく未来
DXの導入は、ビジネスにおける激しい変化への対応をするために不可欠な要素です。業務そのものやサービスの提供方法など、さまざまな方面にデジタル技術を組み込むことで、変革を起こすことができます。
化粧品業界でも積極的にDX化をしていき、顧客満足度の向上に加えて業務の効率化や労働環境の改善、利用の容易化を目指せます。DX化の推進度は業界の盛衰に大きく影響しており、DXを導入しやすい業界こそ、導入の可否の差が歴然になります。また、DXに取り組みやすい業界の発展が日本全体のデジタル競争力向上につながります。
まとめ
化粧品業界は商品をパーソナライズすることが重要です。人の力だけではできない細かい部分もDX化によって、一人ひとりに合ったサービスの提供ができるようになります。今後のDX化の推進が化粧品業界の発展の鍵になるでしょう。