本記事ではSlackが世界的に展開するSaaS型アプリケーションソフトウェアサービス「Slack」の日本版について徹底解説します。なお、日本向けのサービスは日本法人であるSlack Japan株式会社が運営しています。
「Slack」は必要なメンバーチャット、データ、使用中のソフトウェアツールなどをチームごとに分類整理し、共有できる場をオンライン上につくるツールです。これにより、コミュニケーションや情報共有が上手くいかないという企業の悩みを解決できます。
またアプリケーションソフトウェア、チャンネルといったIT用語の意味がわかりづらいという人もいるでしょう。そこで「Slack」の製品解説に入る前にこれら用語の意味についても、わかりやすく紹介していきます。
アプリケーションソフトウェアとは
ソフトウェアとはコンピューターに何らかの処理指令を出すプログラムのことです。PC本体などのデバイスをハードウェアと呼ぶのに対し、物理的実体が無いプログラム機能をソフトウェアと呼びます。
ソフトウェアには次の2種類があります。
①システムソフトウェア:
Windowsなどのオペレーティングシステム(OS)
②アプリケーションソフトウェア:
ExelやWordなど何らかの目的に特化したプログラム
今回紹介する「Slack」をはじめ、ソフトウェアサービスのほとんどが②のアプリケーションソフトウェアになります。
通俗的には、スマートフォンなどのモバイルデバイスにインストールするものを「アプリ」、PCに入れるものを「ソフトウェア」と呼ぶことが多いです。
チャンネルとは
「チャンネル(channel)」とは直訳すると「経路、通路」です。
IT業界における主要な意味は「データが通る路」を指します。
YouTubeで情報を発信する経路をチャンネルと呼び、またInstagramやTwitterなどのSNSに広告を載せそこから自社サイトへ顧客を引き入れる経路のことをチャンネルと呼んだりもします。このように、チャンネルはIT上のサービスにおいて広義に使われる言葉です。
そして「Slack」におけるチャンネルとは、プロジェクトやトピック、チームといったグループごとに、必要なデータやツールを分類して送る経路を指します。データを送るチャンネルを分類することで、情報やコミュニケーションがグループごとに整理された状態で得られる場が、ツール上に出来上がる仕組みです。
「Slack」を徹底解説
製品概要
Slack公式サイトには
「仕事に必要な人と情報をすべて 1か所に集約し、働き方を変革しましょう。」
という言葉があります。また、
「Slack で生産性を高める鍵は、あらゆる仕事を整理して進め方をがらりと変えるチャンネルというスペースです。トピックに関連するすべてのメンバー、メッセージ、ファイルを 1 か所にまとめると、仕事のスピードが劇的に上がります。」
ともあるように、Slackは大まかにいうと業務における情報やコミュニケーションの、一元化・整理を行うことで、仕事の質と効率を高めるソフトウェアツールです。
では次に、「Slack」がもつ具体的な機能について見ていきましょう。
「Slack」の主な機能
チャンネル作成機能
プロジェクト別やクライアント別などの分類により、必要なメンバーやチャットをチャンネルで分けることができる機能です。
チャンネルを使えば、業務の状況をチームと共有できるようになります。皆が同じ情報にアクセスできるので、チャンネル内の全員が共通の意識をもって働くことができ、また新しく参加したメンバーもそれまでの経緯を容易にに把握できます。つまり、チャンネルによりチームのベクトルを正しく確認しながらビジネスを前に進めることを可能にします。
またチャンネルで取り組む仕事が増えるにつれて、会話やファイルが検索可能なアーカイブへと化し、時間が経つにつれてその利便性がさらに向上していきます。
チャンネルの種類は次の3つです。
〇パブリックチャンネル:
社内の誰でも参加・検索ができる
〇プライベートチャンネル:
機密性の高いコミュニケーションに適しており、検索機能は招待されたメンバーのみが行える
〇Slackコネクト:
自社以外の組織や顧客とやりとりできる
Slackコネクトについては、次の項でも説明していきます。
Slackコネクト(社外との連絡機能)
自社外のパートナー組織やクライアントとやりとりするためのチャンネルを作成する機能です。Slack のエンタープライズグレードのセキュリティ機能とコンプライアンス基準により、自社外とであっても安全なやりとりが可能になります。
チャンネル内では安全に他アプリケーションと連携することができるため、CalendlyやZoomなどとの連携でクライアントとの会議の予約設定などをかんたんに行えます。コミュニケーションの場をメールの受信トレイからチャンネルに移した方が、クライアントとのコミュニケーションをより緻密に強化できるのです。
チャット
個人またはチーム全体と、メッセージをやり取りすることができる機能です。即時送信はもちろん、送信日時を設定して後に自動で送信することもできます。
また必要であれば在宅勤務でも、世界中にメンバーが分散するチームであっても、Web音声・ビデオ通話が可能です。
チャットは作成したチャンネルごとに分けることができ、リモートであってもチャンネル上で同僚とコミュニケーションをとることができます。チャンネルがバーチャルオフィスになるイメージです。
またメッセージを送る際、GIF と絵文字のアニメーションカスタマイズが可能で、より繊細なニュアンスが伝わるコミュニケーションが図れます。
他アプリとの連携機能
Slackでは他社のアプリケーションソフトウェアをチャネル内で安全に連携させることができます。
業界の主要なソフトウェアやカスタムアプリケーションをSlackに直接取り込むことができるため、それまですでに使っているツールと連携できる場合が多く、労力とコストを抑えられます。
チームの仕事に必要な他社のアプリケーションソフトウェアを連携させ、作成したチャンネルの中にインテグレーション(統合)できるため、チャンネルという1つの場で必要なソフトウェアツールを一元管理します。
これにより、同じチャンネル内のメンバーとソフトウェアツールを参照しながらチャットでスムーズな会話を行えます。
また、Slackのチャンネルはどのデバイスにも対応しており、スマートフォンからでも使いやすい操作性でチャンネルでのコミュニケーションに参加することができます。
セキュリティ
Slack は業界の標準セキュリティ規格に準拠するだけでなく、それ以上の水準を実現しており、導入した企業それぞれのコンプライアンス要件に準拠できるソリューションを備えています。
Slackのセキュリティは、大企業にも対応できる内容となっており、「Slack Enterprise Key Management」(スラックエンタープライズキーマネジメント)という独自のセキュリティ機能により、データを全体的にコントロールできるだけでなく、サプライチェーンでセキュリティの脅威が発生した場合でもデータを確実に保護することが可能です。
シングルサインオンやドメイン申請、エンタープライズモビリティ管理サポートなどの機能で、必要なメンバーと承認済みデバイスのみが Slack 上の社内情報にアクセスできるよう保証します。すべてのユーザー企業の皆さまの保存データと送信中データをデフォルトで暗号化し、トップクラスのデータ損失防止(DLP)機能も有します。
Slackが取得している認定や認証、セキュリティ機能についての詳しい内容は、以下のSlack公式ホームページ内PDFにて確認できます。
→https://a.slack-dge.com/6e2a7/marketing/downloads/security/Datasheet_ja-JP.pdf
ワークフロービルダー
「ワークフロービルダー」とは、
「ワークフロー=業務の流れ」を「ビルダー=構築する機能」
という意味です。それまでフローとして構築できていなかった業務タスクのプロセスをフロー化したうえで、リクエストや回答処理などを極力自動化し業務の効率化を実現します。
Slack のワークフローは、ワークフローを開始するトリガーを選び、それからステップごとに次の動作を決めていくことでかんたんに作成できます。
Slackは「あらゆるタスクにワークフローを」というスローガンを掲げており、繰り返し発生する定型タスクを Slack のワークフローに任せれば、進捗共有など毎日のタスクやフィードバック収集、リクエストの処理といったあらゆるプロセスを効率化できます。
料金プラン
フリー | プロ | ビジネスプラス | Enterprise Grid |
0円/月 | 850円/月 | 1,600円/月 | 要問い合わせ |
プランごとの詳しい機能内容を知りたい場合は、こちらをご覧ください。
→https://slack.com/intl/ja-jp/pricing
導入事例
導入実績
Slackは、全世界150カ国以上で導入されています。また有料プランの導入企業実績は、16万9,000社以上です。
実用例
「Slack」導入によりビジネスの質向上に成功した日本企業を、実用例とともに紹介していきます。
ソフトバンク株式会社
日本を代表する通信キャリア企業であるソフトバンク株式会社では、コミュニケーションのデジタル化を実現するツールの1つとして、2020年10月より「Slack」を約5万アカウントという大規模導入を行いました。
ソフトバンクでは、Slackの全社導入以前からコンシューマ営業統括営業戦略本部などの現場従業員が、Slackの情報共有・検索の効率化といったメリットを実感し、現場では活用の裾野が広がっていました。そのボトムアップによる後押しもあり、全社の大規模導入に至ったのです。
ソフトバンクが導入後に実感したメリットは以下の通りです。
✓意思決定スピードがアップすることでビジネスの加速が容易に
✓脱メール依存・脱対面依存の成功
✓「検索機能」と、チャンネルごとの「情報集約」の使い勝手の良さ
✓アップデートや機能強化サイクルが早い
ソフトバンクでは事業推進のスピードが早く、また複数のプロジェクトが並行進行していたことから、情報収集と意思決定を繰り返す必要に迫られている中で海外出張も多いため対面での会議は難しく、常にコミュニケーションの課題を感じていました。そのため、メールを脱却しチャットの他に情報管理・共有機能ツールなどを一元化してグルーピングでき、非対面でのコミュニケーションを成立させる「Slack」により従来のコミュニケーションからの脱却を行いました。
株式会社マスヤ
50 年以上にわたり親しまれてきたヒット商品「おにぎりせんべい」を製造する株式会社マスヤは、現在では菓⼦(⽶菓)の製造・販売をはじめ、幅広い事業を展開する10 社からなるマスヤグループとなっています。
マスヤでは長い間、無意識のうちにトップダウンによる「管理統制型」の企業体質となっていました。しかしながら、事業の数が増えグループ経営が本格化してきたことで、徐々に限界を感じるようになり、メンバーそれぞれが考えて行動する「自律分権型」の経営スタイルへの転換を図りました。そのため、2019 年3月に「 Slack」 の導入を決めたのです。
マスヤが導入後に感じた利点は次の通りです。
✓オープンかつポジティブなコミュニケーションへのシフト
✓「監視されている」というネガティブな心理がない状態で、社長をはじめ社員同士が業務状況把握できる
マサヤが「Slack」以前に導入していたコミュニケーションツールでは、ツールで何人がメッセージを確認したのかなどが可視化されすぎており、社員同士が既読を付けるのをためらって情報共有がスムーズに進まない状況となりました。
一方「Slack」によるコミュニケーションでは細やかな機能上の配慮により、「監視されている」というような社員の心理的不安を解消することに成功しました。そのうえで、「報告」という形式ではなくパブリックチャンネルでのやりとりを増やしたことで、社員の情報共有がよりオープンなものとなり、また挨拶メッセージや絵文字などで褒め合ったり互いを尊重し士気を高めるといった、ポジティブなコミュニケーション傾向も生まれました。
商品紹介情報
「Slack」に関する詳しい情報は以下サイトからご確認ください。https://slack.com/intl/ja-jp/
まとめ
今回は、
Slack Japan(スラックジャパン)、働き方改革支援コンテンツを発信するWebサイトを公開
のニュース記事で取り上げた「Slack」について徹底調査し解説しました。
社内でのコミュニケーションや情報共有が上手くいっていない場合、無理のない組織の刷新が必要になります。「Slack」のように、すでに使用しているツールとの連携も可能で、かつ大きな改善効果が見込めるチャンネル機能を導入することで、組織の課題を解決していきましょう。