独立法人情報処理推進機構が発表した「DX動向2025」によると、日本において何らかの形でDX(デジタルトランスフォーメーション)化に取り組んでいる企業の割合は77.8%にのぼり、米国・ドイツよりも高い数値となっています。しかし、DX化の実施状況を業種別に比較すると、サービス業における実施率は金融・保険業や情報通信業よりも低く、69.1%と、全体の7割に満ちません。
また、総務省の「令和5年版情報通信白書」からも、日本企業における顧客体験の創造・向上を目的としたDX化の実施は、業務プロセスの改善・省力化などの取り組みよりも遅れが生じていることがわかります。このままサービス業のDX化が進まない場合、人手不足や経営負担が生じ、DX化を進める他業種や他国との差が拡大する要因となります。
こうした顧客体験を重視するサービス業におけるDXの遅れは、現場の業務負担が大きい業界ほど顕著であり、その典型例のひとつがブライダル業界です。業務効率化の遅れにより手作業での発注業務や調整業務が生じると、十分な打ち合わせ時間の確保が難しくなるなど、式のクオリティが担保されず、結婚式そのものの価値が低下してしまうケースも少なくありません。多様な顧客のニーズに対応し、体験価値の高い結婚式を提供するためにも、ブライダル業界の早急なDX化が求められます。
そこで本記事では、ブライダル業界のDX化に着目し、現在同業界が直面している課題やメリット・デメリット、そして実際の成功事例を取り上げながら解説します。
ブライダル業界のDX化における課題
DXとは経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」で以下のように定義されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
経済産業省は近年、ブライダル業界をはじめ多くの業界におけるDX化の遅れを懸念し、DX化による生産性向上に向けた施策を提案しています。しかし、以下のような理由から、ブライダル業界のDX化は難航しているのが現状です。
1.個人情報漏洩の不安
新郎新婦や参列者の氏名はもちろん、式中の演出で使用される写真や動画も重要な個人情報です。もしそのような情報が漏洩すると、管理上の重大な問題として指摘され、企業の信頼低下につながります。膨大な情報を扱う企業には厳重な管理体制が求められますが、セキュリティ対策などの詳しい知識を有するDX人材が不足しているとされるブライダル業界では、DX化に向けた体制を整えきれないのが現状です。
2.結婚式における「あたたかみ」の重要性
デジタル化には機械的で無機質な印象があり、結婚式のもつ温かさとは相反する側面があります。また、古くから重んじられてきた冠婚葬祭のひとつである結婚式のDX化に違和感を覚える人も依然として存在します。そのため、デジタル化に対する冷たい印象をいかに払拭し、従来の価値を損なわないかがブライダル業界におけるDX化推進の重要な課題となっています。
ブライダル業界のDX化におけるメリットとデメリット
ブライダル業界のDX化を推進するためには、メリットとデメリットの両面を把握し、慎重に実施する姿勢が求められます。
メリット
1.プランナーの生産性向上
式場における発注業務や調整業務などにDXを導入し効率化することで、プランニング以外の業務負担を軽減できます。これにより、プランナーは本来注力すべきプランニングに十分な時間を割けるようになり、生産性の向上につながります。
2.結婚式の質の担保
式開催に向けた打ち合わせは、重視すべきプロセスのひとつです。DX化によって業務効率を高めることで、結婚式の質を担保するために十分な打ち合わせ時間を確保できます。また、オンライン打ち合わせを導入することで、式場に足を運ぶのが難しい顧客とも柔軟に打ち合わせの機会を増やすことができ、より満足度の高い式づくりにつながります。
デメリット
1.システム化しにくい業務フロー
多様な顧客のニーズに合わせて準備が進む結婚式において、画一的なパッケージプランでは顧客満足度の向上は期待できません。例えば、顧客が演出プランを持ち込む場合、式場は都度イレギュラーな対応をとる必要があり、DXの導入は共通規格の設計が困難です。
2.導入コストの高さ
高額な導入コストも、ブライダル業界におけるDX化の障壁です。前述の課題で挙げた温かみが重要であることを踏まえると、デジタルサービスを導入しても顧客の利用が進まず、結果として導入コストを上回る収益につながらないケースも想定されます。
ブライダル業界におけるDX導入事例
式準備における煩雑な業務のDX化を進めることは、デメリットを考慮する必要があるものの、プランナー・顧客の双方に多大な恩恵をもたらします。ここでは、ブライダル業界のDX化を推進するうえで役に立つサービスを紹介します。
1.予約システム
予約システムは予約受付から決済、顧客管理、集客までをすべて自動化し、データ管理の効率化を実現します。業界トップシェアを誇るクラウド型予約システム「RESERVA(レゼルバ)」は、350業種以上に対応しており、その使いやすさから35万社を超える企業に導入されています。さらにRESERVAは、100種類以上もの豊富な機能を備えています。
膨大な情報を扱うブライダル業界にとって、DXの導入による情報管理の簡易化は期待されるポイントのひとつです。例えば、式場見学の予約受付時に予約アンケートのカスタマイズ機能を利用することで、新郎新婦の式場に対するニーズを事前に把握し管理することができます。万全なセキュリティ対策を備えたRESERVAは、暗号化による記載個人情報の盗聴や改ざんの防止、高度な監視による不正なアクセスや攻撃から守ってくれるため、安心して運用できます。
そして、RESERVAの最大の特徴の1つとして挙げられるのが、企業の用途やニーズに合わせた6種類のプランを提供している点です。フリープランであれは無料で利用できるため、DX化にあたり導入コストを懸念するブライダル業界にとって、大きな利点となります。
参考サイト:RESERVA「ブライダル・結婚式場のための予約システム」
2.ONE-W(ワンダブリュー)

結婚式準備の効率化による時間の捻出は、打ち合わせ時間の十分な確保につながり、顧客満足度の高い式提供を可能にします。
全国約500以上の式場で導入されている「ONE-W」は、結婚式の準備過程で生じる煩雑な業務をオンライン化し、新郎新婦の準備負担軽減・プランナーの業務効率化を目的としたシステムです。新郎新婦とプランナー間のデータ共有が容易になることで、スムーズな準備プロセスを実現します。また、離れていてもかんたんにプランナーとやり取りができることで、デジタル化に対する冷たい印象を払拭します。
そして、結婚式準備では膨大な個人情報の厳重な管理が求められます。ONE-Wは、高い技術力によるセキュリティ対策を備えており、個人情報の漏洩リスクを低減し、安心して利用できる環境を提供します。
参考サイト:ONE-W公式サイト
3.Concept Marry(コンセプトマリー)

招待状や席次表のオンライン化は、結婚式準備にかかる時間を削減し、新郎新婦とプランナー双方の負担軽減を実現します。
Web招待状とWeb席次表が連動した業界初のサービスである「Concept Marry」は、アカウント発行と招待状の承認のみで利用することが可能です。豊富なテンプレートや写真・動画の掲載機能を備えており、新郎新婦の個性あふれる招待状を作成できます。Concept Marryでは、招待状で取得した参列者の情報をそのまま席次表に反映できるため、プランナーの業務負担の軽減が期待できます。
さらに、Concept Marryは国際基準のISMS(Information Security Management System:情報セキュリティマネジメントシステム)を取得しているため、安心して招待状・席次表の管理を行うことが可能です。
参考サイト:Concept Marry公式サイト
まとめ
ブライダル業界におけるDX化の推進は、プランナーの生産性を向上し結婚式のクオリティを担保するうえで不可欠です。予約システムや結婚式準備のオンライン化を導入することで、プランナーの業務負担が軽減され、さらなる顧客満足度の向上が期待できます。顧客体験向上に向けた取り組みが、今後の日本におけるDX化を推し進めるための大きな鍵となるに違いありません。
