従来、商品やサービスに対する顧客からの問い合わせは電話が基本でした。しかし近年、メールだけでなくチャットボットやLINE・X(旧Twitter)といったSNS等、カスタマーサービスの窓口は多様化しています。
2020年の株式会社トランスコスモスの「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020」によると、消費者と企業間のコミュニケーションツールとして電話が2016年から9pt減少したのに対し、チャットボット・メッセージングアプリは19pt増え、AIスピーカーやVR・ARといった新たな技術も登場しています。また単一技術だけでなく、自身のペースにあった問題解決のための問い合わせが可能な、リアルとデジタルが融合したハイブリットサービスを利用したいと考える消費者は71%にも上りました。
このような消費者の多様なニーズに答えるためには、カスタマーサポートツールの導入が最適です。
カスタマーサポートツールは4種類あります。1つ目は各窓口からの問い合わせを一元管理する「問い合わせ管理」、2つ目は顧客の問い合わせや登録情報を管理する「顧客情報管理」、3つ目は顧客やオぺーレーターが問題に対する回答を見つけやすくする「回答支援」、4つ目はオペレーターが顧客・チームと円滑にコミュニケーションをとることを可能にする「コミュニケーション支援」です。
今回はこの4種類のカスタマーサポートツールの中でも、多様な問い合わせへの対応を容易にし、消費者のニーズに答えることを可能にする「問い合わせ管理」「回答支援」に特に強みを持つカスタマーサポートツール「Zendesk(ゼンデスク)」「Tayori(タヨリ)」「Freshdesk(フレッシュデスク)」を、カスタマーサポートツール導入のメリットや選び方とともに比較しながら紹介していきます。
カスタマーサポートツール導入のメリット
1. 顧客ロイヤリティの獲得
カスタマーサポートツールの利用で、顧客の好む問い合わせ手段に対応、そして問い合わせにオペレーターが迅速に対応することが可能です。これにより、顧客満足度の向上が期待でき、顧客ロイヤリティの獲得につながります。
2. 業務効率化
カスタマーサポートツールを導入することで、複数チャネルの問い合わせが1カ所に集約、かんたんに管理されます。1カ所に情報が集約することで社内での共有や顧客対応が容易になり、必要以上のチーム内や顧客とのやり取り・情報の入力時間がなくなって、業務効率化が促進されます。
3. カスタマーサービスやフローの改善がスムーズに
問い合わせ内容に関する情報がカスタマーサポートツールに集約されることで、よくある質問やクレームが理解しやすくなり、カスタマーサービスやフローの改善がスムーズに行えるようになります。素早く問題点などを改善することで、顧客ロイヤリティの向上やオペレーターの働きやすさにもつながります。
カスタマーサポートツールの選び方
取り扱える問い合わせ手段の数が豊富か
電話やメールだけでなく、チャットボットやSNS、公式アプリからの問い合わせなど、多くの問い合わせ手段を取り扱うことが可能なカスタマーサポートツールを選定しましょう。そうすることで顧客が自身にあった問い合わせ方法を選択でき、顧客ロイヤリティが向上します。
ツールが使いやすいか
カスタマーサポートツールを導入しても、操作性が悪いものやわかりにくいUIのものであったら、かえって作業ミスやタイムロスが発生してしまい、仕事に支障が出てしまいます。誰でも利用しやすいツールを選びましょう。
他ツールとの連携や機能の拡張が可能か
カスタマーサポートツールには4種類あると記述しましたが、今後「問い合わせ管理」「回答支援」だけでなく、「顧客情報管理」「コミュニケーション支援」ツールも利用する可能性があります。また、既存の受注管理システムやコールセンターシステムを利用している企業も多いです。これらと連携可能なカスタマーサポートツールであればより利便性が向上するため、検討しているカスタマーサポートツールが他ツールと連携できるか、機能を拡張可能か否かに注目しましょう。
おすすめのカスタマーサポートツール3選
Zendesk(ゼンデスク)
・世界で10万社以上の導入実績
・メールに対してのテンプレートを適用するマクロ機能
・問い合わせメールへの自動返信、担当者の割当などを自由に設定できるトリガ機能など自動化に強み
・「対応中」「解決済み」等ステータスの割り当てにより漏れの無い対応を実現
・社内での情報共有が容易でチェック漏れやすれ違いを防ぐ
・顧客ごとに管理可能なため、同じ顧客から異なる手段でクレームがきても漏らさず素早く対応可能
・問い合わせ対応の優先度を自動で可視化
・LINEやFacebookなどマルチチャネルからの問い合わせに対応
・多岐に渡るカスタマーサポート業務をZendeskだけで網羅可能
・多言語対応
・シンプルなUI
・無料トライアルあり
プラン名 | 月額利用料(日本円は2023年10月現在の値) |
Support Teamプラン | 1ユーザー19ドル(約2,700円) |
Support Professionalプラン | 1ユーザー55ドル(約8,000円) |
Support Enterpriseプラン | 1ユーザー115ドル(約16,600円) |
Tayori(タヨリ)
・イベントや採用など様々な目的から用意されたテンプレートを基に自社用にカスタマイズし利用可能
・かんたんな操作でフォームを作成、管理画面も見やすい
・問い合わせの確認から返信まで管理画面で行える
・チャット機能がシンプルで誰でも顧客対応を容易に
・アンケート機能が回答を集計して自動でグラフ化、自社で必要なデータを効率的にリサーチ可能
・自動で問い合わせに対応優先順位を適用する機能
・チーム内に適切に分散されるよう業務量の自動管理機能
・5分で設置、利用開始できる
・フォーム、FAQ、チャット、ユーザーアンケートといった機能を網羅
・問い合わせに対しファイル添付可能
・無料プランあり
・無料トライアルあり
プラン名 | 利用料(税抜) |
フリープラン | 0円/月 |
スタータープラン | 3,400円/月(2023年11月より3,800円/月) |
プロフェッショナルプラン | 7,400円/月(2023年11月より9,400円/月) |
エンタープライズプラン | 初期費用50,000円+25,400円/月 |
Freshdesk(フレッシュデスク)
・世界で5万社以上の導入実績
・自動で問い合わせに対応優先順位を適用する機能
・チーム内に適切に分散されるよう業務量の自動管理機能
・通知の送信など顧客へのフォローアップも自動化
・繰り返し発生するアクションを自動化
・問い合わせに対し1クリックで複数のアクションを実行するシナリオ自動化
・製品チュートリアルやFAQ等のナレッジベースを作成することで、顧客が自身で問題を解決できる
・X(旧Twitter)やFacebookなど複数システムからの問い合わせに対応
・受信トレイによってチーム間での情報共有がかんたん
・Googleアプリとも連携可能
・無料プランあり
・無料トライアルあり
プラン名 | 月額利用料(日本円は2023年10月現在の値) |
Freeプラン | 0ドル |
Growthプラン | 15ドル~(約2,100円) |
Proプラン | 49ドル~(約7,100円) |
Enterpriseプラン | 79ドル~(約11,500円) |
まとめ
今回はカスタマーサポートツール導入のメリットや選び方、そしておすすめのカスタマーサポートツール3つを比較しながら紹介しました。
企業を成長に導くために必要なことは製品力だけでなく、カスタマーサポートツールを使った良質なサポート体制によって、顧客ロイヤリティを高めることも重要です。
株式会社Zendeskの調査によると、70%の顧客が、新しいカスタマーサービスを使う企業を優先して利用したいと考えています。しかし、企業による問い合わせシステムの多様化に向けた対応は追い付いていないというのが現状です。そのため、このニーズの多様化に素早く対応することで、競合他社との差別化が図れます。
(参考:カスタマーエクスペリエントトレンド2023)
ぜひ、本記事のカスタマーサポートツールの選び方やおすすめのシステムを参考に、カスタマーサポートツールを導入してみてください。