新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、非対面サービスの需要が高まりオンライン上で完結するビジネスモデルが増加しました。顧客とのリアルな接点を持つことができないインターネット上において、顧客のニーズを満たすことが重要視されています。オンラインにおける企業と顧客のコミュニケーションを支えるツールの中にチャットボットサービスがあります。
チャットボットは、ニューノーマルに対応した、非対面で顧客と企業間における接点を確保できる画期的なツールです。チャットボットを活用すれば、自社Webサイトを訪問したインターネットユーザーとAIを用いて自動で会話することができます。特に多言語対応のモデルであれば、国内国外問わず様々な状況下で使用可能です。
チャットボットは、非常に多くの便利機能が搭載されているため、自社の目的に沿ったサービスを導入してはじめてその真価が発揮されます。しかし、提供企業によってサービス内容や料金体系は異なるため、自社に合ったチャットボットサービスを選択することは容易ではありません。
本記事では、ビジネスに特化した多言語対応チャットボットを7つ紹介します。自社のビジネスモデルやマーケティング対象に適したサービスを選択する際に、参考にしてください。
チャットボットとは
チャットボットは、リアルタイムに複数人が文字を入力することで会話をする「チャット(chat)」とロボットを表す「ボット(bot)」を組み合わせることで生まれたサービスです。チャット上での人間の質問に対し、自動で回答を表示することで自然な会話を交わします。ロボットに会話時の規則を事前にプログラミングしておくことで、より精度の高いコミュニケーションが実現します。
チャットボットの選び方
チャットボットサービスには、様々な料金形態やタイプ・機能が存在します。自社の目的に沿ったサービスを選択するには、それぞれの特徴を把握することが重要です。本項では、チャットボットサービスのタイプを解説しながら、選び方の基準をお伝えします。
タイプで選ぶ
チャットボットには大きく2つのタイプが存在します。それぞれのタイプによって、搭載されている機能が異なるのでサービスを選択するにあたって非常に重要な要素です。
AI型
AIチャットボットは、事前学習によって蓄積したデータや、ユーザーの行動情報から収集したデータをAIが解析し、状況に応じて回答を自動表示するチャットボットタイプを指します。
高精度なAI機能を搭載しているため、ユーザーの言葉遣いや質問の微細なニュアンスの違いにも対応しています。一言でAIタイプといっても、機能には個体差があり、幅広い料金体系が用意されているため、複数のサービスを比較検討することが重要です。
シナリオ・ルール型対応
AIチャットボットのように、自動的に適切な回答を表示するのではなく、作成したシナリオに準じて、利用者の質問に対する回答を表示します。
質問内容が用意したシナリオから逸脱すると、適切な回答が表示できない点がデメリットとして挙げられますが、簡易的な操作で設定可能で、導入しやすい点が特徴です。
AIタイプよりも比較的リーズナブルな価格で導入できるため、チャットボットサービスを試験的に導入したいという人は、シナリオ・ルール型から試し、顧客の反応を確認してみましょう。
機能で選ぶ
チャットボットサービスを選ぶにあたって機能は非常に重要な要素です。前述した通りチャットボットにはAI型とシナリオ・ルール型の2つのタイプが存在します。そしてそれぞれのタイプによって、必要な機能は当然異なります。
AIタイプの場合は、学習機能の精度・成熟までに要する時間が重要な要素です。実際の企業の導入事例などを参考に、チャットボットが適切な対応を可能にするまでにどれだけの時間・コストを投資する必要があるのかチェックしておくことがスムーズに実用化するための鍵を握ります。
シナリオ・ルール型の導入を検討している人は、どれだけ詳細設定ができるかという点に着目しましょう。シナリオ・ルール型はかんたんに設定ができるため、スピーディーに利用できます。一方、利用者の質問に対し、検討違いな回答を表示してしまうと信頼を損ねるリスクがあり、設定可能な範囲を確認しておくことが重要です。
両タイプとも、無料トライアルを実施している場合があります。試験的に導入することで、使用感や顧客の反応を確認し、どちらのタイプがより企業の方向性とマッチしているか比較検討してください。
対応言語で選ぶ
中には、多言語に対して対応可能なチャットボットも存在します。より多くの顧客の疑問点を解消し自社サービスを広く世の中に浸透させるためには、多言語対応は必須です。英語や中国語はもちろんのこと、タイ語やミャンマー語に対応しているチャットボットも存在します。海外展開を視野に入れている人は、対応可能言語をチェックしましょう。
料金体系で選ぶ
基本的に、チャットボット使用料金は、初期費用や月額費用、カスタマイズ費用が発生します。それぞれのチャットボットサービスの特徴を把握し、自社の目的に沿ったチャットボットを選択することでコストを最小限に抑えましょう。
チャットボットサービスは、様々な事業形態に合わせて臨機応変にカスタマイズできるチャットボットと、特定の業界に特化した仕様のチャットボットに分けられます。
前者は自由なカスタマイズが可能であるため、柔軟な顧客対応に適している一方で、カスタマイズ費用がかさむ可能性も無視できません。自社のビジネスやサービスが独自カスタマイズを必要とする場合は、特定の業界に特化したチャットボットを選ぶことでコストパフォーマンスの最大化が狙えます。特徴や金額などから複数のサービスを比較し、適切な金額で導入するようにしましょう。
おすすめチャットボット7選
本項では、ビジネス向けの多言語対応チャットボット7選を紹介します。それぞれの機能や特徴、メリットについて解説するので、自社のビジネスモデルに沿ったチャットボットサービスを導入するための参考にしてください。
Chat Plus+(チャットプラス)
【金額】
プラン名 | ミニマムプラン | ビジネスライトプラン | プレミアムプラン | AIライトプラン | オートAI | AIチャットボット |
年契約 | 1,500円/月 | 9,800円/月 | 28,000円/月 | 50,000円/月 | 71,500円~/月 | 150,000円/月 |
月契約 | 1,980円/月 | 10,800円/月 | 30,000円/月 | 54,000円/月 | 78,000円~/月 | 170,000円/月 |
【特徴】
導入実績No.1の実用性の高いチャットボットです。10日間の無料トライアルが用意されているため気軽に利用できます。
【優れている点】
顧客からの問合せ・資料請求などあらゆるシチュエーションに対応可能な豊富な機能を備えています。
状況に応じて、AIを活用した自動応答、オペレーターによる有人対応の切り替えが可能なので臨機応変な運用を実現できます。また、業界最多の機能数を誇り企業の目的に沿ったカスタマイズが自在です。
特筆すべきは対応言語の多さです。現在日本語の他に「日本語」「英語」「スペイン語」「ドイツ語」「フランス語」「インドネシア語」「韓国語」「ポルトガル語」「ロシア語」「タイ語」「ベトナム語」「中国語‐繁体字」「中国語-簡体字」の13言語に対応しています。管理画面で上記の13言語を切り替えて表示できるため、海外の顧客対応にも重宝します。
AIさくらさん
動画引用元:AIさくらチャンネル
【金額】
要問合せ
【特徴】
専用コンサルタントが導入を全面的にサポートしてくれます。
社内外問わず、24時間対応しており、ヘルプデスクとしての導入事例が多いチャットボットです。
【優れている点】
日本語のほか、英語や中国語(簡体、繁体)、韓国語、タイ語、インドネシア語、ベトナム語、ミャンマー語、フランス語、スペイン語、ブラジルポルトガル語の全12言語に対応しています。2019年には、池袋のホテルトロポリタンにてホテル内の案内サービスとして導入されました。
単純なチャットボットサービスの枠を超えて、企業のメンタルケア領域における活躍も期待されます。
Support Chatbot(サポートチャットボット)
【金額】
要問合せ
【特徴】
チャット画面だけでなく管理画面も英語対応が可能なチャットボットです。その他海外言語に関しても順次対応を予定しているため、グローバルに価値を発揮するチャットボットとして、今後のさらなる発展に期待が集まっています。
【優れている点】
顧客の質問に対し自己解決へ導く聞き返し機能を実装し、自然なコミュニケーションを実現します。また、チャットボットの構築を専門チームが担当するため、かんたんにチャットボットの学習機能を整備できるうえに、自社スタッフの稼働を軽減し、業務効率の推進にも寄与します。
実際に企業が導入することで、従来の問い合わせ数の50%を削減したという驚異的な実績が、実用性の高さを裏付ける優れたチャットボットです。
RICOH Chatbot Service(リコーチャットボットサービス)
【金額】
プラン名 | STARTERプラン | STANDARDプラン | ENTERPRISEプラン |
価格 | 18,000円/月 | 50,000円~/月 | 個別見積もり |
【特徴】
ENTERPRISEプランであれば、日本語の他に英語、中国語(繁体字/簡体字)、韓国語などに対応しています。日本語でQ&Aを登録するだけで多言語の質問に回答可能です。
【優れている点】
手厚い運用サポートが用意されているため、安心して導入できます。チャットボット導入時には、専門スタッフによる一対一の操作説明や、運用ポイントなどの指導を受けることが可能です。Q&Aリストを登録するだけのかんたんな操作で利用開始できます。煩雑なシナリオ設定や登録作業が必要ないため、導入のハードルは低いです。
導入後も、チャットボット専門スタッフによる顧客の使用状況分析や、改善ポイントの提案を通じて、より精度の高いチャットボットサービスの確立を支援しています。
HiTTO(ヒット)
【金額】
要問合せ
【特徴】
シェア1位の社内向けAIチャットボットです。業務で蓄積した知識や知見を体系化し、新たなコミュニケーションを生み出します。
【優れている点】
英語や中国語など様々な言語に対応しているため、企業のグローバル化を推進するのに重宝します。
一般的なチャットボットでは、AIの学習機能を成熟させるために、質問パターンや回答内容を蓄積した学習データが必要になります。そのため、あらかじ学習データを生成しておかなければ即実用化することは困難です。Hitto(ヒット)は、約1000件の回答や質問パターンをすでに学習済みであるため、かんたんに導入できます。AI実用化に至るまでの労働フローを短縮し、生産性の向上に大きく貢献します。
qualva(クオルバ)
【金額】
要問合せ
【特徴】
新規顧客獲得に特化して作成さえたチャットボットです。
資料請求や予約フォーム、ECサイトなどで多く使用されます。
【優れている点】
ユーザーがデバイスで使用している言語の自動表示が可能なため、世界中の顧客の自社サイトアクセスを促進できます。
インターネット上で資料請求や、購買行動を起こすほとんどの場合、名前とメールアドレスの入力が必要であるため、途中で顧客が離脱してしまうことがWeb上でサービスを展開するあらゆる分野・業界での課題です。
qualva(クオルバ)は上記のような課題を解決するために、インターネットユーザーの心理的な負担を軽減する対話式フォームを採用しているため、顧客の途中離脱防止に大きく貢献します。
また、顧客がどの段階で離脱しているのかを可視化するグラフや、広告効果測定の結果を広告代理店と共有可能なダッシュボートが搭載されている点も特徴です。
COTOHA Chat & FAQ(コトハチャット&エフエーキュー)
【金額】
プラン名 | Web限定プラン トライアルサービス | Web限定プラン 本格サービス | ドキュメント回答プラン | レギュラープラン トライアルサービス | レギュラープラン 本格サービス |
価格 | 55,000円/月 | 104,500円~/月 | 88,000円/月 | 550,000円 | 初期費用3,300,000円 +月額利用料214,500円~ |
【特徴】
NTTコミュニケーションズが提供するAIチャットボットです。顧客からの質問を単純なキーワードとして機械的に認識するのではなく、意味を汲みとることができる高性能なAIを搭載しています。
【優れている点】
業界最多の25言語に対応しているため、国内国外問わず様々なシーンでの活躍が期待されます。英語や中国語、韓国語の他に、ロシア語やポルトガル語にも対応しているので、海外へのビジネス展開を考えている事業者に最適です。
管理・分析機能も充実しています。AIが未解決の質問を自動で分析し、質問意図を汲んだ質の高い回答を提示するので、顧客満足度にも大きくし貢献します。
また、AIの自動学習機能を成熟させるためのQ&Aデータを持っていない事業者に対し、Q&Aデータ生成におけるサポート体制を充実させることで、導入を後押ししています。その他運用やチューニングに関する疑問点を解消するべく、定期的に説明会の機会が設けられているため、導入後の心理的、物理的な苦労も最小限に食い止めることができるでしょう。
まとめ
今回は、多言語に対応したチャットボットを7つ紹介しました。オンラインでのビジネスやコミュニケーションが主流となりつつある現在、Web上で顧客のニーズを満たすビジネスモデルを形成することが非常に重要です。
時代の潮流に乗り、ニューノーマルに対応したビジネスを展開するために、チャットボットサービスは必要不可欠なコミュニケーションツールと言えます。
企業の理念や、ビジネスの目的、マーケティング対象に合わせてチャットボットサービスを選択することで、新規顧客の獲得や顧客満足向上を促進し、企業を大きく発展させるでしょう。
今回紹介した内容を企業の目的に沿った、チャットボットサービスを選ぶための参考にしていただければ幸いです。