サウナ業界DX化|デジタル技術でスマートな癒しを提供

サウナ業界DX化|デジタル技術でスマートな癒しを提供

「マンガ サ道 ~マンガで読むサウナ道~」(著:タナカカツキ)のドラマ化や、アウトドアサウナ、個室サウナといった新たな形態のサウナの台頭をきっかけに、近年、日本のサウナ・スパ市場は目覚ましい成長を遂げています。また、「サ活」などをはじめとするサウナ用語が誕生し、その中でも「ととのう」はユーキャン新語・流行語大賞2021にノミネートされるなど、サウナ文化に対する世間の認知も高まっています。

一方で、厚生労働省の「調査結果の概要(公衆浴場業)」によると、サウナ施設を含む公衆浴場を対象とした調査では、前年度と比較して今年度の売上が1%以上減少した施設が全体の7割以上を占めており、売上動向の主な要因としては「客数の減少」が72.9%となっています。この背景には、利用者ニーズの多様化に加え、個室サウナや予約制サウナなど施設形態の選択肢が広がったことで、従来型の公衆浴場・サウナ施設が選ばれにくくなっている状況があると考えられます。今後サウナ施設が存続するためには、新たな客層の獲得とともに、利用者から選ばれ続けるための経営戦略が重要です。

こうした状況のなか、サウナ業界には多様化する利用者ニーズに応えるための柔軟な取り組みが求められています。また、日本の労働人口は今後大幅な減少が見込まれており、サウナ業界においても限られた人員でより多くの要望に対応する必要があります。そこで鍵となるのが、「デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)」です。DXとは、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」によると、以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

DX化は、人手不足の解消や業務効率化に寄与するだけでなく、多様化する利用者ニーズに応じたサービス提供にもつながります。そのため、サウナ業界においてもDXの推進は重要な経営課題のひとつとなっています。

そこで本記事では、サウナ業界のDX化に着目し、現状の課題や導入によるメリット・デメリット、さらに実際の成功事例について紹介します。

サウナ業界のDXにおける課題

厚生労働省は近年、「デジタル化による生産性向上のすすめ」で、公衆浴場業について取り上げるなど、サウナ施設を含む公衆浴場業界のDX化推進を後押しするための様々な施策を行っています。しかし、以下のような理由から、DX化が順調に進んでいるとはいえないのが現状です。

1.ITリテラシーの不足

高齢者の多くは、日常的にパソコンやスマートフォンを使用しておらず、ITリテラシーが低い傾向が見受けられます。厚生労働省が発表している「調査結果の概要(公衆浴場業)」によると、公衆浴場業の経営者の年齢は「70歳以上」が36.5%、「60~69歳」が33.4%を占めており、こうした高齢化した構造においては、その傾向が顕著であり、DX化が後回しになってしまう現状があります。

2.初期費用の負担

現在のサウナ業界には、個人経営などの小規模な施設も多く存在しており、こうした事業者にとって、DX化にともなう初期費用は大きな負担になります。また、導入するシステムによっては、必要以上に多機能である場合もあり、実際には使用しない機能にコストが発生してしまうことも考えられます。そのため、費用対効果の観点から、導入をためらうケースも少なくありません。

サウナDX化のメリットとデメリット

サウナ施設におけるDX化には多くの可能性がある一方で、実際には課題も少なくありません。メリットとデメリットの両面を理解し、適切に推進することが重要です。

メリット

1.経営状況の可視化

デジタル技術の導入により、顧客情報や来店時間帯などのデータを取集し、それらを用いた経営状況の把握・分析が可能になります。経営状況を可視化することで、ターゲット層を明確にしたマーケティング戦略が可能になることに加え、事業の継承もよりスムーズに行うことができます。

2.労働環境の改善

厚生労働省が発表している「調査結果の概要(公衆浴場業)」によると、公衆浴場業の常時雇用者を対象とした調査では、1日の平均労働時間が9時間以上、月平均休日数が4日と回答した人の割合が最も高くなっています。業務の一部を自動化することで省人化が進み、労働時間の短縮や休日数の増加など、労働環境の改善が期待できます。

デメリット

1.安全面での懸念

デジタル化にともなう省人化や無人化において最も懸念されるのが安全面での問題です。利用者の体調不良や火災などが発生した際、スタッフが常駐していない場合には、発見・対応が遅れるリスクが考えられます。実際に個室サウナでの死亡事故も発生しており、非常用ボタンの設置や定期的な点検、緊急時にスタッフが迅速に駆けつけられる体制の整備などを徹底する必要があります。

2.常連客の減少

公衆浴場では、入浴だけでなく、慣れ親しんだスタッフとの会話や有人ならではおもてなしの空間を楽しむために訪れる常連客も多く見受けられます。デジタル化が進むことで、そうした常連客の楽しみが損なわれ、足が遠のいてしまう可能性があります。

サウナ業界におけるDX導入事例

サウナ施設におけるDX化は、デメリットを考慮する必要があるものの、多くのメリットが期待できます。なかでも、以下3つの取り組みは、人手不足に対する対策として特に有効です。

1.予約システム

予約システムは、予約受付業務の自動化やデータ管理の効率化に役立ちます。導入社数35万社以上、350業種以上に対応する業界トップシェアを誇るクラウド型予約システム「RESERVA(レゼルバ)」の場合、管理者側・ユーザー双方がデジタルツールに不慣れであっても使いやすい、シンプルな操作性が高く評価されています。

さらに、100以上ある機能の中から、LINE連携機能を利用すると、予約者は自身のLINEアカウントを使った予約が可能となり、連絡先の入力負担を軽減できます。クレジット決済機能「レゼルバペイメント」を活用すると、利用者は事前に支払いを済ませられるため、予約当日の会計処理を省略できます。RESERVAはセキュリティ対策も万全であり、暗号化による記載個人情報の盗聴や改ざんの防止、高度な監視による不正なアクセスや攻撃からも守ってくれます。

そして、RESERVAの最大の特徴のひとつとして挙げられるのが、無料のフリープランを提供している点です。DX化に向けて費用を可能な限り抑えたい個人経営のサウナ施設などにとって、まずは無料で試せるところが魅力です。

参考サイト:RESERVA公式サイト「サウナのための予約システム」

2.loTサウナシステム

ONE SAUNAのIoTサウナシステムは、施設運営の効率化や無人化を支援する次世代のサウナ経営システムとして注目されています。

具体的には、スマートフォンやPCからサウナ室の温度・湿度を遠隔で管理できるほか、来場者データの取得・分析や温度異常時の自動アラートなどの機能が搭載されており、運営コストの削減やサービス向上をサポートします。

参考サイト:ONE SAUNA「IoTサウナシステム導入事例紹介」

3.Remote LOCK(リモートロック)

サウナ施設の無人運営において、大きな課題となるのが入室管理です。Remote LOCKを導入することで、従来必要だった鍵の受け渡し業務を削減でき、入退室履歴の自動記録や、遠隔からの鍵の状態確認が可能になります。

さらに、予約システムと連携することで、予約完了時に入室のための暗証番号が自動発行されるため、予約から入室まで全てデジタル上で完結できる仕組みを作成できます。

参考サイト:RemoteLOCK「【徹底解説】急増中の個室サウナとスマートロック導入のススメ」

まとめ

今後のサウナ業界の存続には、さらなる多様化や省人化が求められることが予想されます。しかし、DX化を推進することで、少人数での運営・管理や、より正確な業界動向の把握が可能になります。さらに、業務の自動化によって人員に余裕が生まれ、人ならではのおもてなしに注力できるようになるため、顧客体験・満足度の向上も期待できます。サウナ施設が利用者から選ばれ続けるためにも、DXは今後の運営を支える重要な取り組みといえるでしょう。