年末が近づき、「確定申告」について考える方も多いのではないでしょうか。フィットネス事業を運営し、個人事業主になりたての方や、税金について理解が浅い方からすると、「確定申告」に苦手意識を感じるかと思います。
確定申告とはその年の収入・支出、医療費や扶養状況などから所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき所得税額を確定することです。
サラリーマンの場合は、雇い主が年末調整を実施するため、あまり納税に対して意識する必要はありませんが、フィットネス事業者をはじめとする個人事業主の場合は自分で確定申告をしなければなりません。
「確定申告は面倒」と感じるかもしれませんが、しっかりと準備と対策を行えば、節税効果が期待できます。逆に知らないと、損をしてしまう可能性があります。実際、国や行政では、現在さまざまな租税に対する優遇を行っています。
今回は租税・優遇・税金対策についてご紹介していきます。
個人事業主の節税対策について
現在、働き方改革に伴いギグワーカーとして働く方や、個人事業主やフリーランスとして独立される方が増えていますが、そうした方々は勤め先の給与所得以外の所得分に関して確定申告を行う必要があります。
現在、国では働き方改革に伴うギグエコノミーの推奨や、昨今の経済状況を踏まえて、個人事業主に対して様々な税金の優遇処置を行っています。そうした税金の優遇処置を活用しなければ、本来納める必要がない税金まで納税しなければなりません。
ここでは個人事業主として知っておくべき、税金の基礎である「租税」「優遇」について解説します。
租税とは?
租税(そぜい)とは、いわゆる税金のことです。具体的には、法令の定めに基づいて国民や企業等に負担を強制する金銭のことで、国税と地方税があります。
租税(税金)というとネガティブなイメージを持つ方も多いかと思いますが、税金は、年金・医療などの社会保障・福祉、水道・道路などのライフライン整備、教育、警察、防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うものです。
昨今のコロナウイルス拡大により、様々な助成金に関しても税金から賄われています。
個人事業主が納める税金には大きく2種類あります。
- 事業そのものに掛かる税金=事業運営に必要なので、租税公課として計上可能
- 個人事業主の個人にかかる税金=事業に関係ないので、事業主貸として扱われ、経費には計上不可
事業そのものに掛かる税金
事業そのものにかかる税金は、租税公課として扱われます。租税公課として経費にすることが可能な税金は以下のようなものが挙げられます。
- 個人事業税
- 消費税
- 自動車税
- 印紙税
- 固定資産税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- その他会費、組合費など
中でも個人事業税は、税率が業種ごとに決まっているのが特徴です。自身の事業がどの税率に該当するかはこちらで確認できます。
→個人事業税の概要/法定業種と税率(東京都主税局)
個人事業主の個人にかかる税金
個人事業主個人に掛かる税金は、事業主貸として扱われます。事業主貸とは、 事業に無関係な支出を指す勘定用語です。あくまでも個人なので、経費としての処理はできません。事業主貸に該当する税金は以下のようなものが挙げられます。
- 所得税
- 相続税
- 贈与税
- 住民税
- 国税・地方税の延滞金または加算金
- 交通規則違反などの罰金
中でも、所得税と住民税は、個人事業主としての1年間の所得に応じて金額が決定します。この金額を決定するために行うのが確定申告です。
所得は「所得 = 売上 - 経費」で計算されます。つまり経費を積み上げればその分、所得が減りますので所得税が低くなります。
そのため所得額を下げるために、経費を増やすことは節税対策にもなります。もちろん、事業に関係のない費用を経費に計上することはできません。また、所得(儲け)が少ないと、社会的信用が増えず金融機関から融資を受けにくいといったデメリットもあります。
個人事業主の優遇とは?
働き方改革の推進によって副業・複業を認める企業が増える中、政府も税制面で優遇しています。
フリーランス減税
「基礎控除」という、誰でも無条件に、課税対象となる所得から差し引くことができる控除があります。この基礎控除が2020年から10万円増額され48万円になりました。(合計所得金額が2,400万円以下の場合)
青色申告特別控除
青色申告を行うことで、最高65万円の特別控除を受けることができます。
青色申告行うためには開業届けを提出する必要があります。個人事業主やフリーランスの中には、開業届を出していない方もいますが、節税効果が高いのでぜひ検討すると良いでしょう。
青色申告特別控除の詳細はこちらからご確認ください。
→青色申告特別控除(国税庁)
少額減価償却資産の特例
減価償却とは、購入した固定資産の費用を、税法上の耐用年数で分割して計上する会計方法です。10万円を超えるものは減価償却対象となります。例えば、300万円の社用車を購入した場合、その年に一括で300万円分の経費計上をすることはできません。
※減価償却の耐用年数に関しては下記をご参考ください。
→減価償却耐用年数表(国税庁)
しかし、個人事業主・中小企業者については、一定の条件を満たすことで10万円以上30万円未満のものを一括で経費として処理できる「少額減価償却資産の特例」があります。例えば、業務用にパソコンを新調し20万円掛かった場合、一括で必要経費にすることができます。
特例を受けるには青色申告者のみとなっています。先述した通り、個人事業主の青色申告をすることによる節税効果は大きいといえるでしょう。
まとめ
この記事では、フィットネス事業を運営する個人事業主や、初めて確定申告を行う方に向けた、租税・優遇に関する内容をお届けしてきました。
今回ご紹介した以外にも、生命保険料控除や、小規模企業共済掛金控除、医療費控除、寄付金控除(ふるさと納税)など、多くの所得控除があります。
こうした知識・情報を知っているかどうかで、正しい所得税を算出することができます。事業を営むために使った経費は漏れなく計上し、正しく税金を納めるべきです。
しかしながら先述した通り、本来に経費計上をできないものを経費として所得を下げようとすると罰則を受けたり、最悪は脱税とみなされ、刑事罰に問われて逮捕されることもあります。
もし所得税の計算に不安がある場合は、税理士に相談をするか、確定申告時期には無料で税の相談を受け付けています。確定申告時期になって慌てないように、早めに準備を進めるようにしましょう。
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