事業承継を考えるときの相談先|5分で分かる経営基礎知識

事業承継を考えるときの相談先|5分で分かる経営基礎知識

フィットネス事業を経営される方で、事業を引き継ぐ判断をしたとき、はじめはどこに誰に相談したら良いか分からないことが多いと思います。友人や家族、では専門的な知識が足りないですし、かといって知り合いに詳しいコンサルタントがいる方も少ないかと思います。

今回は、もし事業承継を考える際に知っておきたい相談先について基礎的なところから解説していきます。

いつまでに事業承継をするか考える

事業承継は、経営権や株式の譲渡、相続税や贈与税、取引先への案内・引継ぎ、従業員への周知など、やるべきことは多々あります。

スムーズに事業承継が完了するまで、少なくとも3年はかかると言われています。そのため、いつ経営者として引退し事業承継を完了させるのか、はたまた事業承継を行わずに廃業をするのかは早めに決めておくといいでしょう。

もしかしたら、急病や事故などで突然死亡するかもしれません。人はいつどうなるかは誰にもわからないものです。時代の変化も早く、数年後のことも予測が難しい世の中です。ただし、予測ができないからといって何も決めずにいると、後になって会社の経営をめぐってトラブルになることもあります。

終わりを意識することは自分のためではなく、家族・従業員・取引先のためであることをぜひ念頭に置いていただけたらと思います。

事業承継の選択肢を知る

事業承継を行う際には、引継ぎ先として大きく3つあります。

  1. 親族内承継(配偶者、子ども、親戚など)
  2. 親族外承継(役員、従業員など)
  3. M&Aによる第三者への承継

これらの承継方法に関する詳細は、「事業承継とM&Aの違い|5分でわかる経営基礎知識」の記事で解説していますので、併せてご覧ください。

→参考記事:「事業承継とM&Aの違い|5分でわかる経営基礎知識

相談先を決める

事業承継については様々な機関・専門家がサポートを行っています。また、「相続税に関しては税理士」、「遺言書に関しては弁護士」など相談内容によって窓口も変わります。

そもそも、「事業承継はどこから始めて、何を決めておく必要があるかわからない」といった状況の場合は、いきなりお金を掛けて専門家を雇う前に、まずは気軽に相談できる機関を選ぶと良いでしょう。行政が運営している機関では、基本的なことから丁寧にアドバイスが受けられます。

事業承継に関するサポートが受けられる相談先例

事業承継に関するサポートが受けられる相談先一覧です。更にこの中でも、実績や特徴が異なります。

事業承継は経営者としての最後の大仕事です。事業承継が上手くいかないと後々トラブルに発展するケースや、事業承継をしたことでかえって経営が悪化し、倒産するリスクもあることは念頭に置かなければなりません。

事業承継におけるトラブルに関しては「事業承継で知っておきたいトラブル事例と予防策」の記事も併せてご覧ください。

そうしたリスクなども踏まえて、前経営者と新経営者の橋渡し役となってくれる信頼できるパートナーを選ぶようにしましょう。

  • 税理士、公認会計事務所
  • 商工会・商工会議所
  • 弁護士、行政書士
  • 金融機関
  • 事業引継ぎセンター・よろず支援拠点
  • M&A仲介業者、コンサルティング会社

税理士、公認会計事務所

顧問税理士がいたり、税金に関する相談する機会が多いため、事業承継に関する相談先として最も身近な存在でいえるでしょう。

税理士事務所、公認会計事務所は多くの経営者から事業承継に関する相談を持ち掛けられる機会が多いため、事例やサポート実績も豊富です。

商工会議所

商工会議所は、経営者に対して様々なサポートを実施しており、事業承継に関する相談対応も行っています。

商工会議所に会員として入会済みの場合、多くのサービスを無料で受けることができるのも特長です。実務的な相談というよりは、ケーススタディな知識取得がメインになるので、「将来的な事業承継も意識して後継者育成をしたい」といった場合に活用すると良いでしょう。

弁護士、行政書士

家族の相続対策、遺言書の作成など法律に関連する相談であれば、弁護士・行政書士が最も候補として挙げられます。

ただし、相談費用が高くつく可能性もあります。また、身近に相談できる弁護士・行政書士がいれば別ですが、そうでない場合はやや相談先として敷居が高い印象があります。

他の相談窓口(税理士法人、M&A仲介業者)では、弁護士・行政書士と協業しているか自社で雇用している場合も多いため、基本的には自ら問い合わせることはあまりないと言えるでしょう。

もちろん、フラットにアドバイスを聞きたいといった場合には、事業承継や遺言書作成の実績が豊富な弁護士・行政書士を調べて相談するのがいいでしょう。

金融機関

どの企業も長年お付き合いのある金融機関がありますので、事業承継の相談相手としても選ばれやすい機関です。金融機関でも「事業承継セミナー」などを定期開催しているので、そうしたことからも「事業承継の相談=金融機関」というイメージが根付いているのではないでしょうか。

ただし、金融機関はあくまでも「お金を貸す機関」ですので、事業承継に関わる法務や税務といった実務的な部分は専門外でもあります。その場合、専門家の紹介を受けることになりますが、紹介を受けてしまうと何かあった時に断りにくいという心理が働きますので、注意が必要です。

しかし、事業承継にあたってはお金が必要になる場合もあるので、資金調達の相談先としては筆頭に上がるでしょう。

事業引継ぎセンター・よろず支援拠点

よろす支援拠点は国が設置した無料の経営相談所です。47都道府県に設置されており、経営上のあらゆる悩みに何度も無料で相談ができます。

個人事業主、小規模事業者、中小企業、NPO法人などあらゆる規模・業態で利用ができ、各拠点専任コーディネーターが相談内容に応じた実現可能なアドバイスを行ってくれます。

よろず支援拠点/事業承継支援事例
1.「社長の急逝で突然の事業承継 品質の安定化で廃業を回避」(引用:よろず支援拠点公式サイト)
2.「事業承継後の経営ビジョンを明確にし新商品開発と販路開拓に挑戦」(引用:よろず支援拠点公式サイト)

その他の事業承継事例は下記よりご覧ください。
→参照 よろず支援拠点公式サイト

M&A仲介業者、コンサルティング会社

M&A仲介業者・M&Aコンサルティング会社は、企業のM&A支援を専門とする民間企業です。もし、事業承継を親族や従業員に行わず、第三者への売却を含めて検討する場合は相談先候補筆頭に挙がります。

特長としては、M&Aの事例・実績・ノウハウが豊富である点です。また仲介会社の元には、買い手となる企業や個人の情報が集まるので、事業譲渡先の選択肢は大きく広がるでしょう。

その他にも、M&A仲介業者・コンサルティング会社は、M&Aに関わるプロセスを一挙に担ってくれます。法務・税務の他、経営権移譲の条件交渉・従業員・取引先への説明なども任せることができるので、後々トラブルに発展するリスクを抑えることが可能です。

他の企業ではどこに相談をしているか(中小企業庁データより)

経営者は誰に事業承継の相談をしているのでしょうか。中小企業庁の調査(参考:2017年版中小企業白書)によると、多くの経営者は「顧問の公認会計士・税理士」、「親族、知人・友人」「取引金融機関」に相談をしているようです。

反対に、「商工会・商工会議所」、「事業引継ぎセンター」、「よろず支援拠点」などはあまり相談先として利用されていないようです。

このデータから、経営者が事業承継を相談する先は普段から接触機会の多い相手に相談をする傾向があることがわかります。逆に普段から関わりの少ない窓口には、相談先として選ばれにくいといえます。

つまり事業承継を考えた時に新しくどこかの専門機関に問合せをして、相談を持ち掛けるというよりは、普段の関わりの中で相談に発展するケースが多いといえます。

特に、事業承継まで時間がない場合や、とにかく早く事業を売却したい場合はスピーディに進めることができます。

しかしながら、このデータはあくまでも傾向の話であり、相談が多いから正解というわけではありません。あくまでも、目的に合わせて相談先を検討するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回ご紹介したように、事業承継の相談先は一つとは限りません。事業承継の話題はデリケートなだけに、まずは身近な人に相談したい気持ちもでてくると思いますが、相談先を一つにすると情報が偏る可能性があります。偏った情報は、時としてトラブルに発展するケースもあるので注意が必要です。

そうしたトラブルを防ぐために、いくつか相談先があることで、客観的な視点を持つことができます。事業承継は、自社・取引先・従業員・後継者にとっても大きな事柄ですので、慎重に進めるようにしましょう。

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