2020年から猛威を振るった新型コロナウイルスの蔓延を通して、医療従事者の負担が明らかになりました。しかし、コロナウイルスが落ち着きを見せた現在もギリギリの状態で運営されている医療現場は少なくありません。
厚生労働省が2023年(令和5年)2月に行った「労働経済動向調査」の、産業別正社員等労働者の過不足状況についての調査では、人手が不足していると答えた従事者の割合が、調査産業の全体で49%でした。しかし、医療・福祉業界はこの割合が66%と圧倒的に高い数値になっています。このことから、医療業界は、他の業界よりも人手不足が常態化していることがわかります。
そんな慢性的な人手不足を抱えている医療業界、中でも小規模で運営しているクリニックにおいて、予約システムの導入は画期的な改善策のひとつです。予約システムを導入すると、システムが医療従事者に代わりさまざまな業務を担当でき、負担の軽減につながります。それだけでなく、事務作業を効率化させたり、利用者へのサポートを充実させることもできます。
今回は、クリニックに新たに予約システムを導入するにあたっての選定ポイントやおすすめの機能を、実際にいくつかの予約システムを例に挙げながら紹介していきます。
クリニックに予約システムを導入するメリット
クリニックに予約システムを導入するメリットを具体的に解説していきます。
予約システムを導入することでまず可能になるのが、24時間対応の予約受付です。電話やメールでの予約受付では対応が営業時間内に限られてしまいますが、システムを導入することで利用者が時間を気にせずに予約できるようになります。また、予約の受付に割いていた人員を別の業務に回すことができ、運営の効率化も図れます。
さらに、顧客情報の正確で安全な管理が可能になります。予約受付の過程に人が関わらないことで、患者の名前を聞き間違えたり予約を取り違えたりする人為的ミスがなくなります。その結果、より正確なデータをもとに診察ができ、クリニックの評価の向上にもつながります。
クリニック向け予約システムの選定ポイント
予約システムを導入するメリットを踏まえ、ここからは実際にシステムを選ぶにあたってのポイントを解説していきます。
操作性
システムの導入においてまず重要になるのは、操作がシンプルでわかりやすいことです。クリニックの負担軽減のために予約システムを導入しても、操作に苦戦して時間を取られてしまっては意味がありません。まず、システムの初期設定がかんたんにできそうかを確認しましょう。また、予約確認やキャンセルなど頻繁に利用する画面への操作がスムーズなこともポイントです。さらに、クリニックの運営側だけでなく予約する側の操作性も確認し、年配の患者など端末の操作に不慣れな方でも問題なく利用できそうなシステムを選ぶとよいでしょう。
機能の豊富さ
現在展開されているさまざまな予約システムには、それぞれ特徴的な機能が搭載されています。その中から、クリニック運営に適した機能を選択することが大切です。
たとえば、立地などの関係で海外の利用者が多いクリニックには多言語対応機能が役立ちますし、患者とのコミュニケーションを重要視するクリニックであれば事前に患者の病状などを入力してもらうアンケート機能があると便利でしょう。また、患者が多く予約が埋まりやすいクリニックであればキャンセル待ち機能が利用できる予約システムを導入するとより効率的な運営が可能です。
このように、多種多様な機能の中から、目的に合った機能をできるだけ多く搭載している予約システムを吟味し、選択することが重要になります。
サポート体制
最後に重要になってくるのが、各予約システムにおけるサポート体制です。システムを利用していくうえで出てくる疑問点や、操作上の不明点に対してのサポート体制が確立しているシステムを選択するとよいでしょう。マニュアルの有無やサポートデスクの営業時間、電話での対応が可能かどうかなど、これから安心して利用できるバックアップ体制が整っていることは導入する上で大きなポイントです。
>>診療予約システムを導入する際に押さえるべきポイント|病院やクリニックで使える無料予約システムを比較
クリニック向け予約システム5社を比較
実際に、クリニック向けのサービスが充実している予約システムを5つ例に挙げて比較していきます。
1.RESERVA(レゼルバ)
RESERVA(レゼルバ)は、業界屈指の人気を誇るクラウド型予約システムで、導入数は26万社以上、利用業態は350種類以上にのぼります。100種類以上の豊富な機能をそろえている点や、初期設定から利用開始まで最短3分という圧倒的な操作性が高く評価されています。それだけでなく、はじめての利用やお試しでの利用にうれしいフリープランの展開も特徴的です。
RESERVAには、先ほどクリニック向け機能の例に挙げた多言語対応機能、事前アンケート機能、キャンセル待ち機能はもちろん、ほかにも便利な機能が搭載されています。
まず、「予約リマインドメール機能」です。この機能は、患者がクリニックを予約したことを忘れて無断キャンセルにならないように、予約日の前日に確認のメールを自動で送信する機能です。リマインドメールは、事前に作成されたテンプレートが送信されるため、自分で作成する必要がなくかんたんに設定できます。テンプレートを編集してアレンジを加えることも可能です。
次に、「事前決済機能」です。予約の段階で、RESERVAに登録しているクレジットカードから料金を支払っておくことで、診察後の待ち時間をなくせます。診察後すぐ帰路に就くことで時間を有効活用でき、クリニック側も会計のスタッフを減らすことができます。
さらに、「顧客データ出力機能」も搭載されています。予約受付時に得た顧客の情報を医師へ引き継ぐ際にCSV形式にして出力したり、RESERVAの予約リストをもとにして患者の電子カルテを作る際にリストのデータを一括ダウンロードしたりと、他システムとの互換性に長けている機能です。
>>インフルエンザワクチン予約を効率化。クリニック経営には予約システムRESERVA
【RESERVAの料金プラン】
プラン名 | 初期費用 | 月額利用料(税込) |
フリープラン | 0円 | 0円 |
ブループラン | 0円 | 3,520円~ |
シルバープラン | 0円 | 5,500円~ |
ゴールドプラン | 0円 | 11,000円~ |
エンタープライズプラン | 0円 | 22,000円~ |
スイートプラン | 0円 | 46,200円~ |
2.PLASIC(プラシック)
PLASIC(プラシック)はシンプルなデザインと高い操作性が特徴の診療予約システムです。使いやすさを重視した設計と、クリニックごとのカスタマイズ機能が豊富な点が評価されています。
有料プランのみの取り扱いとなっていますが、6か月の無料トライアルがついているため、クリニック内だけでなく実際に利用する患者の意見を反映させたうえで導入を検討できることが最大の魅力です。
PLASICに搭載されている機能としてまず挙げられるのが「カスタマイズ機能」です。これは、クリニックの雰囲気に合わせてシステムのデザインを着せ替えられる機能になっています。
また、「電子カルテ連携」が可能な点も特徴です。デフォルトの状態では電子カルテとの連携をしていない代わりに、それぞれのクリニックで利用している電子カルテとの連携をカスタマイズできます。
【PLASICの料金プラン】
プラン名 | 初期費用 | 月額利用料(税込) |
PLASIC利用料 | 100,000円 ※キャンペーン期間0円 | 10,000円 ※キャンペーン期間8,000円 |
3.ドクターキューブ
ドクターキューブは、診療予約に的を絞った予約システムで、受付管理に必要な基本的なシステムに加えて、小児科向け機能が充実していることが特徴です。予防接種の予約や頻度の管理、病児保育への対応など、すべての病院にとって使いやすい多くのシステムを提供しています。
ドクターキューブの特徴的な機能のひとつが、「フルカスタマイズ機能」です。院内表示ディスプレイのデザインを医師の好みに合わせてカスタマイズしたり、呼び出しテロップや休診のお知らせなどもカスタマイズして表示が可能です。
さらにドクターキューブは、「順番予約」「時間予約」「時間枠予約」の3タイプの予約方法に対応しています。クリニックごとのニーズに合わせた予約方法を提供できるだけでなく、運用途中での予約方法の変更、2つの予約方法の併用も可能です。
【ドクターキューブの料金プラン】
プラン名 | 初期費用 | 月額利用料(税込) |
ドクターキューブ利用料 | 要お問合わせ | 要お問合わせ |
4.ヨヤクル
ヨヤクルは、多様な予約方法、予約形式からクリニックに合った機能を選べることが特徴の診療予約システムです。ほかの予約システムと比較して費用が安価な点、トラブルへの対応が迅速な点が高く評価されています。
ヨヤクルの強みのひとつは、「自動音声予約機能」です。自動音声での予約を受け付けることで、端末の操作に不慣れで予約システムの活用が難しい患者も問題なく予約できるようになります。
また、ヨヤクルオリジナル機能として、「テプラ印字機能」が展開されています。これは、患者の名前などの基本情報や個人バーコードを自動でシールに印刷することで診察券の作成の手間が省ける機能になっています。
【ヨヤクルの料金プラン】
プラン名 | 初期費用 | 月額利用料(税込) |
ヨヤクル利用料 | 176,000円~ | 9,900円~ |
5.EiPrO(エイプロ)
EIPrOは、予約管や顧客管理を一元化する予約システムです。サービス単位で予約フォームを作成可能で、既存のホームページにも簡単に組み込める手軽さが特徴となります。24時間の予約受付はもちろん、サービス単位での顧客管理や自動返信メール、リマインダーメールなどにも対応しています。この予約システムを導入することで、クリニックの患者サービスや業務効率、売上につなげられます。
【インドアゴルフ練習場におすすめのEiPrOの機能】
・キャンセルポリシー機能
・キャンセル待ち機能
・リマインダーメール機能
・翻訳機能
→EiProの機能の詳細はこちら
【価格・月額料金】(税込)
プラン名 | 初期費用 | 月額料金 |
ネオ | 0円 | 7,700円 |
プロ | 0円 | 14,300円 |
→EiProの料金表はこちら
クリニックでの予約システムの導入事例
実際にクリニックで予約システムが活用されている事例を参考にしてみましょう。今回は、RESERVA予約システムを導入した方の声を紹介します。
RESERVAの導入事例
麻里デンタルクリニックは、ホワイトニングやセラミック治療などの審美歯科を得意とした歯科医院です。
同院は、それまで手動で行っていた予約管理をシステム化したいと考え、管理が難しくなさそうなRESERVAの導入を決めました。その結果、夜間や休日にも予約が多数入ってくるようになり、導入前と比較して予約件数は20%増加したそうです。また、手動で行っていた管理が自動でできるようになったため、業務が円滑に進められるようになったと効果を実感しています。
さらに、RESERVAのセキュリティ対策にも満足しており、データの管理体制を高く評価しています。
RESERVA活用事例|麻里デンタルクリニック【サービス・クリニック】
まとめ
今回は、クリニック向けの予約システムを5社比較しました。
クリニックに予約システムを導入することは、従事者の負担の軽減や運営の効率化につながります。また、人為的ミスのない正確で安全な予約管理が実現し、患者の信頼度の向上も期待できます。
人手不足が謳われる医療業界においてよりスムーズにクリニックを運営していくために、それぞれのクリニックに合った予約システムを吟味し、積極的に導入していくことをおすすめします。